最近はめっきり足が遠のいてしまった、骨董市。
これまた貧乏学生の頃にかぎって良く行っては
「あああいいなああ。欲しいなあ…」
と指をくわえて我慢していたっけなあ。
骨董…というと、とっつきにくいけれど、
私は高価な着物や茶碗は全然わからなくて
古道具が好きなのでした。
ツクモガミがついちゃいそうなくらい、
長年、大事に使われてきた道具って、面白い。
あとは、根付けと油壺が気になっていました。
根付けってのは、今でいう携帯のストラップみたいな?ものかな?
財布や物入れにつけて、帯にはさんでじゃらじゃらさせてた…んだと思います。
油壺ってのは、昔は髷を結うのに油をつかっていて、
その油を入れていた、インク壺くらいの大きさの壺。
これらは高価でイイモノじゃなきゃあってんじゃなくて、
ほんと、自分の気に入ったものを気軽に買えるので、財布にやさしいw
500円くらいのものでも、面白いデザインがあるので。
で、写真は学生時代、骨董市で見つけた、戦争の名残です。

衛生兵教程
中は、青と赤の色鉛筆で、余白にびっしりと、持ち主が勉強した
内容が書き込まれていました。
これを読むと、いろんなことを考えます。
この持ち主は、戦争にいったのだろうか。
戦死したのか。
生きて帰ってこれたのか。
戦場で兵隊の手当をしたのだろうか。
死を目の当たりにしたのだろうか。
教科書には書いていない局面に、どう対応したのだろうか。
泣いたのだろうか。
苦しんだのだろうか。
あるいは戦争に行かず、
学んだことを実践する機会は訪れなかったのだろうか。
この教本を、捨てずにとっておいたのだろうか。
どこをどう流れて私の手にこの本が渡ったのかは
解りませんが、彼の熱心に勉強した跡が
私の心を、ちりちりと焼くのです。
人の名残のしみついた本や道具は、
私をちょっとかび臭い想像の海へと連れて行ってくれるのです。
