「ここは・・・」
「そう。戻ってきた。そこでうずくまっているのは・・・分かるな」
「ああ。僕だ。今の・・・」
「お前はあれを見てどう思う?」
「どうって?」
「あれで良いと思うか?」
「(無言)」
「仕事も辞め、外部からの連絡を一切絶ち、部屋の隅で膝を抱えている」
「(無言)」
「あれで良いと思うか?」
「・・・思いはしない。でも仕方がなかった」
「どうして?」
「嫌なことが・・・信じられないくらい悪いことが一斉に押し寄せてくる」
「それで、あれか」
「ああ。何も、無かったんだ。過去も、現在も、そして未来も」
「確かにお前は過去に辛い目に遭っている。そしてそれを引きずり、現在はあれだ」
「・・・ああ」
「でも、未来は変える事が出来るんじゃないのか?」
「この先にある未来は期待できない」
「でも、お前はここにいて、様々なものを見てきた」
「・・・まぁ」
「あのままだと、確かに行き着く先は決まっているな」
「(無言)」
「どうせ、あとは自殺すればいい、とか思っているんじゃないのか?」
「(無言)」
「お前は本当は、どうなりたかったんだ?」
「それは・・・」
「幸せになりたかったんだろ?」
「でも、僕にはその資格が・・・」
「本当にないのか?!」
「それは・・・」
「良いんだよ、幸せになっても」
「・・・うん」
「探しに行こう。お前の幸せの形を」