HERE , THERE AND EVERYWHERE 5 | BEAT

BEAT

ENDLESS FIGHTER

「どんなことをして過ごしていたんだ?」


「彼女とか?」


「そう」


「僕たち2人は、当たり前のことを知らなすぎたんだ。だから、それを一つづつ埋めていった」


「例えば?」


「カラオケだって、当時はブームだったが、お互い初めてだったんだ」


「ブームなのに?」


「世の中はブームかも知れないが、僕らの周りは無気力な人間しかいなかったんだ」


「だから、初めて、と」


「そう。二人で6時間歌いっぱなしだったりとか。」


「彼女は?」


「喜んでいた。負けずに唄いあって、二人ともフラフラだった」


「良い想い出だな」


「だから、彼女が好きだった唄を聞くと、ハッとする時がある」


「忘れられない日々」


「ああ。他にもたくさんある。旅行にも行った。いろんな所に」


「旅行なんか好きだったのか?」


「ああ。ただ、一緒に行く奴がいなかっただけだ。何をするにもめんどくさい、しか言わない奴らばかり」


「彼女となら、行けた」


「そう。大阪も、東北も、とにかくいろんな所に行った。日本海も見たっけ」


「日本海?」


「冬の、な。寒くて仕方がなかったけど、彼女は喜んでいた」


「凍えるほどの寒さに?」


「寒ければ寒いほど、春の暖かさやありがたさ、喜びが分かるって」


「苦労性だな」


「僕は同じことを彼女に言った。彼女は恥ずかしそうに笑っていたよ」


「そうか」


「スポーツにも挑戦した」


「溢れる想い、全てはき出して良いんだぞ」


「迷惑か?」


「まさか」


「すまんな。今はなぜか楽しい。彼女と一緒にいるようだ」


「そうか。良かったな」


「・・・ああ」





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