あらすじ・構成
イラストレーターの叔父にしか心許さずに周囲とは喧嘩ばかりの「みのり」と、サッカー部に所属しながらも絵画を志していた亡くなった父親の影響でデッサンに憑かれるように取り組む「悟」。
この二人が高校で出会い「画を描く・描かれる」ことを通してお互いが成長していく物語です。
青春や恋愛がメインに描かれているのですが、物語のスタートはそれぞれの生い立ちからというところが新鮮です。当初作った短編にお話を足して、足して、長編になされたからだそうなのですが、本当に素晴らしい構成です。
みのりの視点からも、悟の視点からも読むことが出来るので、読むときの年齢や状態で違った印象を受けると思います。
私は高校生の頃はみのりに、大学生の頃は悟に、今(29歳・会社員)はみのりの叔父である「通ちゃん」にそれぞれ視点が引っ張られました。
海
相模湾周辺が舞台なので、海や浜辺、江ノ電がよく出てきます。
七里ガ浜・葉山・極楽寺・長谷など。通ちゃんの最初のアトリエからも大磯の青灰色の海が見えます。
私は瀬戸内海の出身で幼い頃から身近にあったためか、海が好きです。上京して関東に住んでいる今もよく海には遊びにいきます。荒々しい波は11年経った今もまだ馴染めないのですが、この作品を読んで訪ねた七里ガ浜のまっすぐで細長くて水平線が広く見渡せる浜辺が大好きです。



ここでみのりと悟は約束するのですね、うんうん。
サンカク
私は日々通勤で読書に夢中になるあまり降車駅を乗り過ごすほど(そのために早く家を出ます)本を読むことが好きなので、好きなことを止められない悟の気持ちも、
でも文章を書くことは下手くそなのでどうやったら絵が描けなくても好きな世界(好きな人がいる世界)に入れるかと一生懸命に悩むみのりの気持ちもわかる気がしています。
このように移入の強い作品は何歳になってもずっと側にあると思います。
みのりと悟のが通い合う恋愛場面は終盤のみで、中盤は描かれる人と描く人という役割だけだとお互いは主張するような友情色が強いのですが、悟がみのりをモデルに絵を描く場面は観察する様が緻密で丸裸にされているような雰囲気がかなり濃厚でどきどきします。
恋愛だけでなく通ちゃんも、悟の家族や部活の仲間、恋の相手も、みのりの友達も、しっかりと人物像がしっかりと描かれていて皆が皆、それぞれが自分の大切なものとどのように向き合えばいいか悩んでいるところも良いです。
ちょっとした恋愛物語よりも大人の恋愛ですし、青春物語を越えた人生についてのお話です。未成年がお酒を飲む場面があるので悩み処なのですが、でもやはり高校生にお薦めしたい作品です。
それではまた来週水曜日に。 上条凛
読了後のススメ
①七里ガ浜へ行きませう!!
②浅生ハルミン『猫の目散歩』を読んでみてはいかが? 通ちゃんのイラストを省略の美だとみのりが評していて、私は浅生ハルミンさんを思い浮かべました。
イラストレーターの叔父にしか心許さずに周囲とは喧嘩ばかりの「みのり」と、サッカー部に所属しながらも絵画を志していた亡くなった父親の影響でデッサンに憑かれるように取り組む「悟」。
この二人が高校で出会い「画を描く・描かれる」ことを通してお互いが成長していく物語です。
青春や恋愛がメインに描かれているのですが、物語のスタートはそれぞれの生い立ちからというところが新鮮です。当初作った短編にお話を足して、足して、長編になされたからだそうなのですが、本当に素晴らしい構成です。
みのりの視点からも、悟の視点からも読むことが出来るので、読むときの年齢や状態で違った印象を受けると思います。
私は高校生の頃はみのりに、大学生の頃は悟に、今(29歳・会社員)はみのりの叔父である「通ちゃん」にそれぞれ視点が引っ張られました。
海
相模湾周辺が舞台なので、海や浜辺、江ノ電がよく出てきます。
七里ガ浜・葉山・極楽寺・長谷など。通ちゃんの最初のアトリエからも大磯の青灰色の海が見えます。
私は瀬戸内海の出身で幼い頃から身近にあったためか、海が好きです。上京して関東に住んでいる今もよく海には遊びにいきます。荒々しい波は11年経った今もまだ馴染めないのですが、この作品を読んで訪ねた七里ガ浜のまっすぐで細長くて水平線が広く見渡せる浜辺が大好きです。



ここでみのりと悟は約束するのですね、うんうん。
サンカク
私は日々通勤で読書に夢中になるあまり降車駅を乗り過ごすほど(そのために早く家を出ます)本を読むことが好きなので、好きなことを止められない悟の気持ちも、
でも文章を書くことは下手くそなのでどうやったら絵が描けなくても好きな世界(好きな人がいる世界)に入れるかと一生懸命に悩むみのりの気持ちもわかる気がしています。
このように移入の強い作品は何歳になってもずっと側にあると思います。
みのりと悟のが通い合う恋愛場面は終盤のみで、中盤は描かれる人と描く人という役割だけだとお互いは主張するような友情色が強いのですが、悟がみのりをモデルに絵を描く場面は観察する様が緻密で丸裸にされているような雰囲気がかなり濃厚でどきどきします。
恋愛だけでなく通ちゃんも、悟の家族や部活の仲間、恋の相手も、みのりの友達も、しっかりと人物像がしっかりと描かれていて皆が皆、それぞれが自分の大切なものとどのように向き合えばいいか悩んでいるところも良いです。
ちょっとした恋愛物語よりも大人の恋愛ですし、青春物語を越えた人生についてのお話です。未成年がお酒を飲む場面があるので悩み処なのですが、でもやはり高校生にお薦めしたい作品です。
それではまた来週水曜日に。 上条凛
①七里ガ浜へ行きませう!!
②浅生ハルミン『猫の目散歩』を読んでみてはいかが? 通ちゃんのイラストを省略の美だとみのりが評していて、私は浅生ハルミンさんを思い浮かべました。