タイムリミット | 中絶の記録

中絶の記録

30歳バツイチ子ナシ独身女。不倫中の彼との間にできた子どもの中絶の記録。

2件目の病院は、個人でやっている、最初の病院よりもだいぶ小さなクリニックだった。

今回も問診表に「中絶の相談」と書いた。

 

先生は穏やかそうなおじいちゃん先生だった。

子どもの頃に通っていた小児科の先生になんとなく似ていて、

少し安心できた。

 

問診表に「独身・出産経験なし」と書いていたので

先生から「産まないの?」と言われたが、

私が口ごもるとそれ以上は聞かれなかった。

 

同じような流れで内診を受け、再度エコーで子どもの画像を見せられた。

最初の病院では大きさまで言われなかったが、

 

「1.5cm、今日が8週と1日目ですね。」

 

と言われた。

 

1.5cm…自分のへそくらいか?

小さな命だと思うと同時に、最初の病院で聞いた鼓動が頭の中で響いた。

 

その後中絶手術についてまた同じような説明を受けた。

 

私「入院は必要ないんですよね?」

 

それだけが気掛かりだったので念押しで聞いた。

 

医「11週までの中絶なら入院なしでできます。」

 

当日のスケジュールも聞くと、

9時までに病院に来て中絶同意書の提出と料金の支払いを済ませ、

手術の準備→手術自体は15分で終わり、

麻酔を使うためしばらく休息をとってから昼過ぎには帰れると言う。

 

出産経験がないため、子宮の出口が狭いと、広げるための処置に

時間がかかるためさらに2時間程度遅くなると言われたが、

先生いわくおそらく必要ないだろうとの事だった。

 

先生はもう中絶をする流れで、手術の日取りを決めようとしたが、

彼ともう一度話し合いたいのでもう少し待って欲しいと伝えた。

 

ただ、日が経つ毎にお腹の中の子は大きくなり、

手術が難しくなるだけでなく、だんだんと人のカタチに近づいてくるわけで

手術をする側も心苦しいため、堕ろすのであれば早めに決断を、と言われた。

 

タイムリミットとしては一週間。

 

ただ、時間に余裕があるときに落ち着いて考えて結論を出したかったため、

仕事が休みである土日、つまり明日と明後日で彼と話し合い、結論を出すことにした。

 

ひとつの命を左右する決断に、あまりに短すぎる期間だったが

中絶する可能性も考えるとぐずぐずしている場合ではなかった。