折って作る羽ばたき飛行機は

それなりに公開されていますが

どういう理論で羽ばたいているのか

もう一度順序立てて

きちんと説明しておきたいと

思います。

 

羽ばたき飛行機は

 

機首を上下動させる紙飛行機

 

の事です。

その上下動によって

翼を上下させている様に動かす

というのが

この紙飛行機の本質です。

 

バイオニックと呼ばれる

紙飛行機も有りますが

本質的には何も変わりません。

 

では

どういう仕組みで

機首部分を上下動させているかと言うと

実は昇降舵に由るものです。

或いは

昇降舵の役割を担う部位を持たせた

紙飛行機と言った方が

正確かも知れません。

その仕組みを簡単に言うと

 

片方の翼に二種類の昇降舵を作る。

 

これが基本的な考え方です。

翼は左右に有りますから

計四つの昇降舵

もしくはその役割を担う部位が

羽ばたきには必要だと言う事です。

 

昇降舵の本来の役割に付いては

特に説明はしませんが

 

昇降舵を上に折り上げれば

機首部分は上がり

昇降舵を下に折り下げれば

機首部分は下がる。

 

飛行機にとっては

当然の事です。

 

片翼に

上向きの昇降舵と下向きの昇降舵を

同居させる。

 

これが羽ばたき飛行機の基本構造。

基本的な羽ばたき飛行機

片翼に上向きと下向きの

昇降舵様の折りが付けられています。

 

二つの昇降舵を

片翼に同居させると

どういう動きをするのか?

 

上向きの昇降舵によって

機首部分が上がると

上向きの昇降舵に

空気が当たらなくなるので

上向きの昇降舵の効果が弱まります。

 

すると

下向きの昇降舵の効果が強くなって

機首部分を下げようとする。

機首部分が下がると

下向きの昇降舵に

空気が当たらなくなるので

下向きの昇降舵の効果が弱まる。

 

今度は上向きの昇降舵の効果が強まり・・・

 

これが繰り返させる訳です。

 

 

 

これが上下動の正体です。

 

翼の付け根の部分が

しっかりしていると

翼自体の羽ばたきの動きは

起こりません。

 

機体の前後が

シーソーの様に上下動する。

バイオニックと呼ばれている

動きになる訳です。

 

判ってしまえば

実は簡単な仕組みです。

 

では折り重ねによって出来る

羽ばたき飛行機は、というと

上面の折り重ねの段差

斜線の部分が

昇降舵の役割を担う部位。

赤線の間隔の幅の広さが実は重要で

この間隔幅で、羽ばたきの効果の有無が

決まります。

下面の段差

この段差が、もう一つの昇降舵の役割を担います。

 

これが

折り重ねによる羽ばたき飛行機の

基本的な構造です。

テスト機の段差、上面

テスト機の段差、下面

 

翼の上下に

違う質(位置)の段差を持たせた時

機体は上下動を起こします。

 

羽ばたき飛行機を

設計する場合

最初に考えなければ

成らないのは

飛ぶ紙飛行機に仕上げる事。

先ずこの事を

考えなければなりません。

 

その上で

羽ばたく構造をどう構築して行くかを

考える。

 

注意して欲しいのは

昇降舵による

良く飛ぶ為の飛行の調整は

し辛いと言う事。

この紙飛行機の場合

昇降舵というのは

羽ばたきの調整の為に

使いますから

良く飛ぶ為の飛行調整には

基本使えないんです。

 

だから昇降舵による

調整の必要の無い紙飛行機で

有る事が基本。

 

もしくは新たに二つ

調整の為の昇降舵を追加する。

 

そこから羽ばたきを組み立てる。

 

昇降舵によって、羽ばたかせるのか。

それとも折り重ねを使って

その効果を持たせるのか。

 

昇降舵の位置、幅、大きさも

重要なポイントに成ります。

 

羽ばたきを

大きく見せたいのなら

基本的には

出来るだけ翼の外側に

昇降舵を作って行かなければ

なりません。

『フュージョン』

 

『フュージョン』の

優れている点は

紙飛行機としての高い飛行能力を

先ず構築している所。

2分の1紙飛行機をベースに

錘の重さと翼平面形のバランスを

きちんと取って

尚且つ

下面の折り重ねの段差は一直線。

 

翼の上下にきちんと

不均一の上下動を

起こさせる配置を

持たせている。

下面の段差は

翼の外側一杯に伸ばされており

それが翼の上下動を

てこの原理によって

より大きくしています。

 

『デビル』の設計も

その考え方を基にして

構築して行きました。

『デビル』上面

『デビル』下面

 

『デビル』は

羽ばたきを主軸に置いた設計。

羽ばたきが出易い様に

翼の付け根の折り重ねを

減らしています。

翼平面形は

参考にした『フュージョン』に極似(笑)。

 

理想の翼平面形を考えると

どうしても似て来ます。

『フラッパー』上側

『フラッパー』下側

 

『フラッパー』は

最もシンプルな折り重ねに由る

羽ばたき飛行機ですが

その飛行能力は

決して高く有りません。

むしろ弱い。

 

しかし

こんな紙飛行機でも

翼の付け根を曲げ伸ばしして

緩めてやれば

飛ばすと上下動して

羽ばたいているように

動いてくれます。

 

羽ばたき飛行機の設計は

実はもの凄く簡単なんです。

 

現在は

折り重ねと昇降舵の

両方を取り入れた

ミックス型という

羽ばたき飛行機も

出現していますが・・・。

 

『フュージョン』は

羽ばたき飛行機の

判りやすいもう一つの理論と

新たな世界観を

折り紙飛行機に

もたらしてくれました。

 

作者が

自身のベスト5に入ると言うのも

頷ける話しです。

 

これも礎の一つです。

 

折り紙飛行機作家なら

知っておいて損の無い

理論でも有ります。