追悼 | 遊びはじめ

遊びはじめ

地味なもの書きによる、「他愛もない話」綴りです。

11月30日。
水木御大のご訃報とともに、飛び込んできたもう一件に耳を疑いました。

母校、梅光学院大学元学長・佐藤泰正先生、急逝の報。

私が先生のお話を聞いたのは、数年前のホームカミングデーが最後となってしまいました。

――98歳でなお現役。
11月26日まで講義をされておられたとの由。

……残念です。
もっともっとお話を聞きたかった。

先生のお話はいつも面白くて途切れなくて、そういう切り口もあるのかという驚きに満ちていて……。
お歳を召してもその舌鋒が緩むことはなく。

人間としても師としても、魅力的な先生でした。

私たちの年代での佐藤学長の存在感は非常に大きかったものです。
精神的な支柱でした。
漱石研究はもとより、その深い洞察と巧みな人間観察・分析。
90分の講義が、いつも「まだ足りない!」とクセになるような展開と話術。
溢れだすその語りの中にちりばめられたユーモアと、どんな学生にも注がれる優しさ。愛情。

大好きな先生でした。

98歳で現役、さらに「惜しまれる」――そんな方はあまりいらっしゃらないかもしれません。

そんな方おふたりが、同じ日に旅立たれました。

今はただ悲しみの中で、先生の言葉を思い出しています。

「文学とは人間学。矛盾を抱えてどう生きるか」

漱石の100年前の警鐘とともに、しっかり考えよと言われているような気がします。

心からの感謝と、ご冥福をお祈りいたします。



※女子会の記事、日延べになってしまいました(また次回)