20代の終わり頃に、立ち読みした雑誌の特集の中で
「生き方を真似したい凛とした女性たち」というような特集があって、
よく知っていたのは向田邦子、はじめて名前を知ったのが、白洲正子、須賀敦子でした。
他にもいたような気がするのですが忘れてしまいました。
この時の記憶をもとに、彼女たちのエッセイを一気にではなくばらばらな時間で
図書館などで名前を目にしたときにふと読んでいくことによって
私の30代の上澄みの部分は形作られていった、といっても過言ではありません。
3人の女性たちは、生き方も性格も三者三様ですが、
人の考え方に美しさと清々しさを与える、という意味で共通であると思います。
鹿児島に一人旅したときに向田邦子展を見て、
30代半ばで買ったという堂々たる革張りのソファに、既に彼女の年を越えていた私は衝撃を受けました。
とても私にはできないしその発想もないと思ったからです。
その男らしさとスケールの大きさ、そしてそこから透けて見える覚悟と、裏がえしの強がり、そういうものが
彼女だったのだと思いました。
いつか白洲正子の神奈川の家にも行ってみたいし
須賀敦子さんの住んだミラノにも行くことが夢です。
女が美しいだけでなく、清々しくいるということ。
そのためには自分の汚さや弱さもちゃんと分かっていること、
そして他人のそれは細い腕で引き受けること、
そこから生じる痛みを受け入れること。
その痛みへのしなやかな対処の仕方が、彼女たちの文章には書かれていると思います。