昔、偏屈だけどまっつぐ※まっすぐ、だが実に気のいい上司に言われたことがあります。

「食べ物が美味しくて人に勧める時「おいしい」って言いなさんな。美味しいもの、の感覚は人それぞれ違うんだから。その人が後で食べに行って、自分の口に合わなくても普通の感覚を持った人は「あそこマズイ」ってはいえないでしょ。相手に気ぃ使わせることにもなる。だからどうしても人に勧めたかったら、自分の「お口にあう」って言いな。」って。

この番組見ていたら、フッとその言葉を思い出しました。

もちろん、いい意味で、です。

なので、何十年かぶりに「自分のお口に本当にあう」オムレツを、こっちに来て見つけたのでお知らせします。

一戸のチェリーさんの「ハムオムレツ定食」です。

まだ自由が丘のSG※パン屋、のお店で働いていたころ、当時、はやりだしていたパカッ&トロッ、オムレツのちょっと名のしれ始めたレストランさんが、うちのバゲットを使ってくれていました。

そのお店とシェフがTVにも出て、それがうれしくて食べに行ったことがあります。

でも・・・、小生のお口には合いませんでした。

小生は爺さんばあさんに育てられたので、オムレツは昔ながらの玉ねぎみじんとひき肉を炒めた具がはいっていて、卵のトロッと感の無い、中まで固まった例えて言えばスパニッシュオムレツに近いものが定番でした。

卵自体、元々は川崎っ子の年寄家庭ですからトロトロや半熟の卵は好まず、卵料理といえば生卵かしっかり火の通ったゆで卵か炒り卵が普通でしたので、意識の中でトロトロは「苦手」と刷り込まれてしまったみたいです。

すき焼きにも卵は使いませんでした。

ですから、ファストフード店での「すき焼き定食」は大好物ですが、卵は別にして卵かけご飯にして食べます。

ただ、ばあさんは戦前、料理学校で洋食も学んだハイカラさんでしたから、そういう卵料理を知らないはずはなく、爺さん※浜の野毛っ子、の好みが卵はそういうもの、というイメージからそういう方向性の料理を作っていたんだと思います。

ですから、今のフワトロ全盛のオムレツには食指が動かず、ここ数十年口にしておりませんでした。

それが、こちらに来て酒屋修復中、毎日の夕食でお世話になってほぼ週6で通っておりました、チェリーさんのメニューを全制覇しようと思いましてね。

このメニュウも食べてみなくてはと思いつつも、フワトロオムレツだったらなぁ・・、とちょっと敬遠しておりました。

で、ある日、意を決して奥さんに聞いてみたんです、「このオムレツってフワトロのやつですか?」と。

答えは「いぇ、うちのは中固まってるのですよ」。

ひき肉とハムとの差はあれ、小生には何とも懐かしく、とっても「お口に合う」素敵なメニュウでした。

以来、小生のチェリーさんメニュウでは「カツカレー大盛り」※普通に頼むと中高年者には危険です。ガッツリ食べたいときは小生も何とか間食いたしますが、に並ぶ一押しメニューの一つになりました。

オモウマい店、に出てくるような料理のレベルや量では考えられないほど安価ではなく、ごくごく普通、常識的なお代設定、でも都会に比べても全然味のレベルが高くて、それで比較すれば格段に安いと思えるレベルのお代設定がチェリーさんです。

余談ですが、あとで味変でお塩をチョコッとつける以外は、ソースもかけずに揚げたままのとんかつに何もつけずにで、最初の一口からなんの躊躇なくご飯が食べられるとんかつを食べたのは、チェリーさんが初めてです。

その他のメニューも推して知るべし、でしょ。

もうもう、ただただ感動です~。

内緒ですが、チェリーさん、マヨも自家製なんですよね~。