お客様宅へ訪問する中で感じることは、高齢者が確実に増えていること。
団塊世代の定年退職の時期の後半。
自宅にいらっしゃるのは、ほぼ65歳以上の方。
午前中、病院に行き、昼帰宅されておられるといった方が増えたように感じます。
高度経済成長期に、日本を支えてきた世代が、高齢となり、また人口ピラミッドも逆三角形にありつつあるなかで、どうしても問題となってくるのが、
「介護」という問題でしょう。
65歳以上の人が国民の約20%と先進国トップの比率となった現在、特に高齢者の介護は家庭の中でだけでなく、社会の問題となってきています。
そもそも、介護ということはどういうことか、定義しておくと、
「介護とは、健康な人であれば、当然自分で行うことのできる、日常生活に必要な動作(食事、排泄、入浴、移動、衣服の着脱など)が、様々な原因によってできない人を援助すること。」です。
若い世代ほど、何気ない動作に対して、動けることになんの意識も、思うこともないかもしれません。
それが、なんらかの原因によって、いつもできた動作ができなくなることでもあるのです。
相当な精神的ストレスになることは間違いありません。
しかしながら、健康である人にとっては、なかなか理解できない部分もあり、それが介助や介護、援助する場合にお互いの意識や思いのズレとなることも多いのであります。
介護する側にもストレスとなり、「なんで、出来ないの?」「こうすればいいのに。」など意識下に芽生えると、必要以上の介護疲れも生じてきます。
介護には、治る見込みも少なく、だんだんよくなっていくことを見ることが中々できないために将来への不安や諦め感など、心と体を介護する側に影響を与えることさえあります。
そして、人によっては、その疲れにあわせて、自分で家族を介護しなければいけないという強い責任感故に、ますます自分を責め、最悪の結果を招くことさえあるようです。
人口動態からみても、社会化しなければならない、「介護」の問題。あらゆる制度を加味しながら、お互いがいい人生をおくれるよう配慮しなければなりません。
そのためにも、介護保険制度というものがありますし、家族がそのような場面に遭遇した場合には、遠慮なく関係機関に相談すべきです。
また、介護をする健康な人と介護される人との意識を埋めるために、介護の援助対象者は、生きてきた文化、環境、生活行為、価値観などが1人ひとり異なっていること、また、病気や障害のために、生活活動を行うのが、困難といった点を知る必要があります。
常識や合理性を押し付けず、よく耳を傾け、その個人の個性を尊重して介護にあたることが必要です。
(介護の基本)
○個人を尊重し、自己選択、自己決定を重視する。
○自己でできることを減らさず、拡大できるようにする。
○ノーマライゼーションを考え、社会とのつながりに希望や意欲を引き出すようにする。
○安全を確保して、転倒などの事故を防止する。
○常に状態を観察し、異常の早期発見を心がける。
といったことが大切です。
人間の想像力を活かし、最大限心地よくお互いがいられるような環境を考えていくべき時代、それが「今」なのです。