おはようございます。今日から年代別での栄養の捉え方とポイントをまとめていきます。
(1)妊婦の栄養
妊婦、授乳婦の栄養は、母体のみにかぎらず、胎児の発育、分娩、乳児の発育を含めた重要な役割があります。
つまりお母さんの栄養状態の良否が妊娠の経過や結果に大きく影響を与えるといえます。
特徴は・・・・
①妊娠期間中に約3kgの胎児が新生される。
②胎児の体内に鉄やビタミンの一定量が貯蔵される。
③胎児の発育をはじめとして母体の乳腺の発育、子宮の増大、血液の増加、胎児付属物の生成、増殖による体重の増加(胎盤、臍帯、卵膜、羊水)により10ヶ月で約8~11kgの体重の増加
④分娩に際しての体力の備えと出産時の出血による、貧血の早期回復
⑤乳汁分泌量の保持
以上のようなことが挙げられます。
また、つわりの時期(妊娠6週間ごろ、多くの妊婦に嗜好の変化、食欲不振、嘔吐、胃腸障害など)がはじまり4ヶ月中ごろに回復することが多いのも特徴です。
心理的、環境的にも影響を受けやすいので心身の安静を保つことを心がけましょう。
食事に関しては、
・エネルギーのとりすぎなように肥満を防ぐこと。
・良質のたんぱく質食品をいろいろ組み合わせて十分摂取する。
・脂肪は必須脂肪酸を多く含むものをとることが望ましい。
・カルシウムの摂取には特に配慮すること。吸収をよくするビタミンDも一緒に摂取するとよい。
・鉄を十分にとること。1日19,5mgが推奨量。
・ビタミンも十分にとる。
・塩分は控える。調味料は薄味にし、妊娠高血圧症候群への移行を防止する。
・野菜、果物を十分にとって便秘を防ぐ。ビタミン、ミネラルの所要量を満たし、下痢や便秘をしないように注意する。
がポイントとなります。
(2)授乳婦の栄養
乳汁分泌をよくすることが一つのポイントとしてあげれれます。
・良質のたんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル(特にカルシウム、鉄)を十分にとる。
・乳汁分泌に相当するだけの水分を補給する。(母乳の88%は水分であり、水分不足は母乳の出を悪くするので牛乳、果物、汁物などで必要量を満たすようにする)
・精神的に安定した生活状態を保つ。
・十分睡眠をとること。
・乳房を空にすること。乳児によく吸わせて乳房を空にすると、乳腺が刺激されて乳汁分泌が促進される。
ことが大切です。
食事に関して配慮すべきことは、乳汁中のエネルギーと授乳に伴う労働の増加分を加えたエネルギーをとる必要があります。
しかし、授乳期間が短い母親や人工栄養の増加分により、妊娠中に蓄積した脂肪を燃焼しきれず、、分娩後の体重増加から肥満になる人が増加しているので、エネルギー摂取には注意が必要です。
たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミンの摂取はもちろんのこと、特にこの時期注意したいのは、カルシウムと鉄です。
カルシウムは目安量を目指して摂取します。鉄は、母体の鉄損失のほか、分娩に伴う出血による鉄の損失を補う必要があります。
母体や胎児の造血のため、妊娠中は、とにかく鉄が不足しがちであり、母乳への鉄の分泌量を考えると、1日13,0mg(18~49歳)が必要になるのです。
母体の健康、維持には、「鉄」がキーワード。十分な栄養と休息を心がけていくことが大切な時期といえます。
次回の暮らしと栄養は、2、乳児栄養をまとめていきます。
それでは。