別にこれを読んではいけないわけはない。

いけなくはないが

ここが和歌山市ならば

 

 

有吉佐和子だろう。

 

いや、彼女は才色兼備で日本人離れした作家だ。

しかもこの和歌山市の近くに、わざわざ

杉並の支度を復元した住居の記念館まであるし、

このモダンな図書館には、そこにあった彼女の生前の蔵書コーナーまである。

 

 

「紀ノ川」も「恍惚の人」も著作ではなく映画だが、

「複合汚染」など、「介護」警告も「企業汚染」の告発も

実に早い時期からジャーナリスト的な側面もあった人だ。

 

 

されど、読みたいのは

               うんこ

 

 

毎日顔を突き合わせている割には

そのに付随する来歴も 価値も 人生訓も

 

      ほとんど何も知りはしない。

映画だと、「ラストエンペラー」で紫禁城の側近宦官が

子供の溥儀の排便を鼻と目で吟味する様は寮の批評家のよう。

似たようにイ・ビョンホの「王になろうとした男」にもあった。

 

前に書いたがヴェンダース映画には野糞シーンがあったが、

この本にも、ムーランルージュのポスターで知られる

画家ロートレックの野糞連写写真が載っている。

 

そう言えば、山上たつひこの「光る風」では

収容所から便所に飛び込み、息を止めて川へと下るシーンがある。

のちに「ショーシャンクの空に」で

根気よく監獄壁に穴を開け、脱出するのも同じか…

 

あれは、小林正樹監督の名作「人間条件」で

下っ端兵士をビンタでいじめ抜く金子信雄上官が

便槽に叩き落としいじめ抜く場面があった。

 

 

 

どうせ和歌山に来たからには、有吉佐和子は読むだろうが

初めての図書館で出会う本は

              また別なる世界の

 

 

好奇心でもあるのだ。

 

 

それに

この図書館はなかなか気に入ってしまった。

ここだけを目的にしての本読みもいいな。

そう言えば、ハノーバー、ベルリンにトーマス・マンの「魔の山」を

読みに行ったのを思い出したが、日々普段とは違う場所での

本読みでは得られぬ効果があり、人生は油断できないのだ。

 

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福田平八郎展の効果か…  

  

     降り出して来た雨がダンスのように音楽的

 

 

しかし スマホでは肉眼以上に見えない。

撮るより見るのを楽しむべきか。