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京汰の稽古場には
あの初舞台から
沢山の弟子達で賑わっていた。
元華草流の弟子から
婦人や子供まで
幅広い人々が集まった。
京汰は、
熟練の度合いで
曜日を分けることにした。
この日は、婦人達の曜日だった。
稽古中、玄関先から声がした。
「こんにちは~」
顔を覗かせたのは
京介だった。
一斉に婦人達は
悲鳴を上げた。
「きゃ~~~京介さまだわ~♥」
「待った甲斐があったわ~」
「き、綺麗・・・・・・♥」
「京介~よく来たな~
ちょっと待ってくれ、
もう稽古は終わるから~」
婦人達は
稽古もそぞろに
京介に熱い視線を投げ掛けた。
「はい!!~今日は、この辺で終わりにしましょう~
よろめきの多い皆さんには
次から、足腰を鍛える稽古も
加えるので、期待していてください」
「いや~~~ん」
「あれ~~~~♥」
「よろめきですって・・・・」
気がつくと
京介によろめき倒れそうに
その身に抱きつく婦人が大勢居た・・・
「あ、あんたら・・・・わざとだな」
京汰は、
冷たい視線で見つめた。
「お師匠さん~違いますよ~
ね~みなさま~」
「そうよ~ちょっとよろめいただけよ~」
「あ、やっぱり、よろめき・・・・・」
「・・・・・・・」
京介は、
数人に抱きつかれ
戸惑った表情で
立ちすくんでいた。
「こら!!京介から、離れろ!!」
「は~い!お師匠さん~
ごめんなさい~また、来週~♥」
「足腰鍛えてください~♪」
「ま、また、来週・・・・・」
っと、大勢の弟子たちは、
玄関から物凄い勢いで
出て行った。
「足腰丈夫そうな体格なんだけどなぁ~」
「京汰さん・・・お弟子さん増えて良かったですね」
「ああ~京介のお陰だ~」
「いえ、僕じゃないですよ
京汰さんの力ですよ・・・・」
「いろいろありがとう・・・・京介」
二人は、
久しぶりの再会に
嬉しそうに微笑みを交わした。
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「おい、玉之助さんの家にお泊まりって
本当なのか?」
京汰は、京介と並びながら
玉之助の家へ向かって歩いていた。
「玉にいさんですよ~そう呼ばないと機嫌が悪くなりますよ」
京介は、この日のお泊りの為に
大きな荷物を持参していた。
「くっ!だから、何で玉にいさんの家に
俺もお泊まりなんだ?」
「玉にいさんは、ずっと父京一郎を可愛がってきて
亡くなってから寂しい想いをしてきたんですよ」
「ああ~それは、分かるけど・・・
俺まで泊まらなくても・・・」
「ダメです。玉にいさんが楽しみにしてるんだから・・・」
「史郎さんが物凄く心配していたけど
前に何かあったのか?」
「え?別に何も・・・
可愛いお部屋でのお話~
楽しいですよ」
「?」
「行ってみればわかりますよ~
ほら、もう少し~
行きましょう♪」
「あ、ああ・・・」
玉之助は、
玄関先に立つ京介たちを
これ以上無いほどの幸せな眼差しで見つめた。
「あら~~~♥
いらっしゃい~京一郎の息子たち~♪」
既に玉之助の格好は
京汰を凍らせるものだった。
「玉にいさん~もう寝巻きですか?」
「そうよ~今日は、3人で寝巻き会よ♥
京介~お揃いの寝巻き~
持ってきたかい?」
「はい、玉にいさん~
ちゃんと持参してきました~」
風呂敷の中に手を入れて
寝巻きを取り出した。
「京汰もちゃんと用意してるから
後で着てね~」
「あ・・・・・いや、俺は・・・・・」
京介の手に持つ寝巻きと
玉之助の姿に
京汰は、冷や汗が流れた。
「ダメですよ~京汰さんも同じ格好しなきゃ~」
「お前~その寝巻き着れるのか?」
「着れますよ~」
「うう~京介・・・
お前は誰の血が流れているんだ?」
「同じ父親の血が流れてますよ」
「何ボソボソ言ってるのよ!
さあさあ~早く上がって~
今日は、女子会だわね~楽しみだわ」
「女子会・・・って、みんな男だぞ」
「京汰さん~そんな細かいことは気にしない~」
「京介・・・お前・・・・人格疑うぞ」
「何、ごちゃごちゃ言ってるのよ~
まずは、一緒にお風呂に入って、
その後、美味しいご飯を食べて~
それから、いろいろお話しましょうね」
玉之助の家のお風呂も
史郎の家同様
弟子達も入るように
大きな湯船に広い洗い場があった。
3人が仲良く湯船に入っていると
玉之助は
しみじみ呟いた。
「不思議だね~
京一郎が二人も居るようだわ・・・
目の錯覚みたいだよ」
「玉にいさん・・・・」
「こんなにそっくりに成長して
私は、本当に嬉しいよ」
「・・・京一郎ってどんなやつ?」
京汰は、初めて気になっていた事を
尋ねた。
「そうだね~自由奔放に好き勝手生きていたのに
一番自由にならない人を好きになってさ~
ずっと一途に想って
どんなことがあっても諦めなかったね」
「・・・・・・」
京介と京汰は、
二人で顔を見合わせ
亡き父親の面影を浮かべた。
「京汰も京介も
しっかりと京一郎の血を
受け継いでるわ~
本当に不器用でさ~
見ていてハラハラするわ」
「不器用だってさ・・・」
「反論出来ませんよ・・・」
「でも、みんなから愛される子だったわよ
あんた達と一緒~!」
玉之助は
湯船の二人をまとめて抱き締めた。
「あぁ・・・本当にこの子達は
京一郎の子・・・
同じ香りがする・・・」
玉之助の言葉は
どこか寂しげに聞こえた。
京介も京汰も
亡き京一郎を忘れず生きてきた
玉之助を
優しく二人で抱き締めた。
ここにもこうやって
自分の気持ちを隠して生きてきた人が居た。
京汰は、
切なさで涙が滲んだ。
お風呂から上がると
京汰も同じ寝巻きを用意されていた。
「京汰さん~お似合いですよ」
「あ、いや、お前こそ・・・
でも、この格好は
史郎さんには見せられない・・・」
「そうですか?
だいすけさんは、可愛いって言ってくれましたよ」
「・・・・・・」
「今日は、無礼講~
わたしの部屋で楽しく語らいましょう♥」
部屋に行き
その戸を開けた時
京汰は、その光景に唖然となって
立ち止まったまま動けなかった。
「う、嘘だろう・・・・・」
「京汰さん~大丈夫ですか?
ほら、中に入りましょう」
「す、すごい・・・・・桃色な部屋・・・・」
「なにやってるのよ~
さっさと入りなさい」
「は~い」
「あ・・・うん」
居心地悪そうな京汰とは違い
京介は、ふんわりとしたベッドに腰掛けた。
「今日は、ここで3人で寝るには
ちょっと狭いわね」
「俺、床でも大丈夫だ」
京汰は、ふかふかのマットの上に
ちょこんと座った。
「そうそう~玉にいさん~
その引き出しの中、見てもいいですか?」
「あ、京一郎の引き出しかい?
いいわよ。
ほとんどが史郎のものだから」
「なに?京一郎の引き出しって・・・」
「京汰さん~父京一郎は、史郎さんへの想いを
玉にいさんだけには
話していたんですよ」
京介がその引き出し前に座り
手を掛けた・・・
「京一郎は、この引き出しの中を見るのが好きでね~
史郎のものを持って来ては
この中に隠していたね」
「史郎さんの?・・・・・」
京汰の心が
少し痛んだ・・・
京一郎は、ずっと兄である史郎を
愛していた。
亡き後
史郎も同じ想いのまま
ずっと過ごしてきたのは
良くわかっていた。
「俺も見たい・・・」
京汰は京介の横に行き、引き出しの前に
二人並んで座った。
そして、その引き出しを
開けた。
「うわ~
何か一杯入ってる・・」
「なんだこれ・・・・」
史郎が使ったものなのか、
湯飲みや箸、
着物や帯
いろんなものが入っていた。
「京一郎は、ここに来る度
なにかしら持参してきたわね~
一つ一つに想い出があるのよ~
その中を開けては
眺めて幸せそうな顔してたね~」
「史郎さんの事・・・
本当に好きだったんですね」
京介は、しみじみと言った。
「・・・・・・・」
京汰は、言葉が出なかった。
その中に詰まった想いが
痛いほど伝わり、
京汰の心に
片思いだったあの頃を想い起こさせた。
「これは?」
中から一枚の絵が出てきた。
京一郎の笑顔が
鉛筆で描かれたものだった。
「あ~それね~
史郎の学校の宿題だって~
家族を描くって題材に
史郎が京一郎を描いたみたいだね
似てるでしょ~」
京一郎の微笑みの表情から
史郎は、
その想いに
気が付いていたのだろうか・・・
「史郎さん・・・・この頃、父の想いを知っていたんですか?」
「あ?いや、何も感じてなかったでしょ~
なんせ史郎は、馬鹿真面目で
鈍感な奴だったからね」
「今の史郎さんは、そんな事感じない・・・」
「そりゃ~史郎だっていろんなことを経験して
大人になったのよ~」
「・・・・・・」
史郎は、人を手玉に取るような態度で
京汰を翻弄する。
いつも小馬鹿にして
余裕があって、
大人の史郎しか知らない・・・
決して自分の悲しみを
表に出すことはない。
「史郎も苦しんだんだ・・・
京汰との出会いで
やっと幸せを掴めたのなら
私は、嬉しい限りだよ」
「玉にいさん・・・・」
「今は、史郎さん~京汰さんにゾッコンですからね」
京介も嬉しそうな笑みを浮かべた。
「私も、こうやって京一郎にそっくりな息子たちと
楽しい語らいが出来ることが
どれだけ幸せか・・・
あんた達には、京一郎の分も幸せになって欲しい~」
京汰は、
手に持っていたその絵を
そっと引き出しにしまった。
その引き出しの中の物は
京一郎の宝物だったのだろう~
京一郎だけが知ってる史郎の
大切な想い出が詰まっていた。
「ごめん・・・京一郎・・・・」
「京汰さん?」
京介は、急に静かになった京汰を
覗き見た。
「俺は史郎さんと京一郎の事~
知らない・・・」
「京汰~知らなくていいんだよ~
お前は、父親の愛する人だと意識することなく
史郎を愛せばいいのよ~」
「そうですよ~京汰さん・・・
父は、きっと喜んでいるはずです。
だって、史郎さんがとても幸せなんですよ」
「うん・・・・そうだね・・・・」
「ほらほら~そんな湿っぽい話はしないで
いろいろ話しましょうよ~」
「ところで京介~
その大きな荷物はなんだ?」
「あ・・これですか?」
風呂敷を解くと
その中から、
赤ちゃんそっくりな人形が出てきた。
「ひっ!!」
「うわぁ~!!」
玉之助と京汰は、
あまりにも
想像を越えたものに驚いた。
「な、なによその人形!!」
「京介!何持ってきたんだ!!」
「あ・・・これですか?
実はいろいろあって
だいすけさんに頂きました」
「頂いたって、
お前に人形を愛する趣味があったのか?」
「あ、いえ、そうじゃないんですが・・・
なんて言いましょうか・・・
赤ちゃんが欲しいって言ったら
これ・・くれました・・・・」
「京介・・・・・」
「京介・・・赤ちゃん・・欲しいのか?」
「だから、これにはいろいろと事情がありまして~
我が子を置いて出てくることも出来ず
一緒に連れてきました。」
「・・・・・・我が子!!」
「ん?なに手拭い首に巻いて・・・」
「あ、これは、だいすけさんの手拭い・・・
これが無いと眠れないので・・・・」
「京介・・・・赤ちゃん欲しいなんて・・泣ける・・」
「相変わらず大輔が居ないと眠れないのか・・・
しかし、これ、華に似てるな・・・・名前なんて言うんだ?」
「あ・・・名前はまだです・・・」
「俺が付けてやる!」
「ダメです!!だいすけさんが
今、悩んでいるんですから・・・
もう、その姿がおかしくて・・・・」
大輔が真剣に悩んでいる姿は
京介にとって微笑ましく
幸せなひとときでもあった。
「幸せそうだね~京介・・・・」
「玉にいさん・・・・
凄く幸せですよ」
「京汰も・・・・・」
「あ・・・俺も毎日史郎さんと
幸せに過ごしてる・・・」
「あぁ~二人共
幸せな空気が漂って来る!!
わたしにお寄越し!!」
「うわ~~!!」
「あ・・・・」
玉之助は、
二人を思いっきり抱き締めた。
3人は
思う存分
朝まで語り合った。
そして、また来ることを
約束して
それぞれの街へと帰って行った。
「わたしにも、素敵な殿方~
現れないかしら・・・」
っと、玉之助は一言
ぼやいた・・・・
![あかちゃんまん](https://emoji.ameba.jp/img/user/9p/9p-mayoco/607440.gif)
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おまけ
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![c.blossoms*](https://emoji.ameba.jp/img/user/pi/pink---rose/83936.gif)
「だいすけさん・・・いい加減に名前決めてください」
「ちょっと待ってくれ・・・・
しっかり吟味しないと・・・・」
「ところで、この子は
女の子?男の子?どっちですか?」
「・・・・・・・知らない・・・
」
二人は顔を見合わせて
大笑いした。
![花](https://emoji.ameba.jp/img/user/bl/blue-pearl66/14418.gif)
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![花](https://emoji.ameba.jp/img/user/bl/blue-pearl66/14418.gif)
「京汰・・・帰るなり紙と鉛筆で
絵を描けってどういう事だ?」
「いいから、俺のいい顔を描いてくれ」
「お前・・・・玉之助さんの家で何してきたんだ?」
「いいから、愛情一杯描いてくれ~
早く!!」
「うう・・・・我が儘姫~」
史郎は、
京汰の不貞腐れた時の顔を描いて
また怒られました。
![ピカチュウ](https://emoji.ameba.jp/img/user/bl/blackcat-party/1649150.gif)
ちゃんちゃん♪
![あかちゃんまん](https://emoji.ameba.jp/img/user/9p/9p-mayoco/607440.gif)
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![c.blossoms*](https://emoji.ameba.jp/img/user/pi/pink---rose/83936.gif)
みなさま~こんにちは~
ぺこ <(_ _)>
いや~本当にサクサク書けなくって、仕事に行く支度もしないで
朝から、書いておりました。
平凡だけど幸せな感じが玉之助との語らいで伝わったでしょうか・・・
なかなか難しい~
やっと「よろめき隊」登場~加入されたみなさま~お待たせ~(*^^)v
今回ビスクドールの画像は、楽天で岩沼一二子さん作で6万円で売っております。
あまりの可愛さに、ポチっとしたくなりましたが、そんなお高いお人形は買えません。(´;ω;`)
コメンテーターさんに名付け親を京汰に・・・ってありましたが、
これはやはり父親である、大輔に任せております。
どんな名前になることやら~それより性別を確かめないとね~( ´艸`)
バタバタで画像も適当に載せちゃってます。
まずは、楽しく読んでください。
後で、直しますので・・・
では、もう仕事行きます~v(⌒o⌒)v
皆様も体調にはくれぐれもお気をつけて・・・・
皆様は熱中症にならないように・・・
こちらは、寒いので、風邪引かないようにしますね
マタネッ(^ー^)ノ~~Bye-Bye!
本当なのか?」
京汰は、京介と並びながら
玉之助の家へ向かって歩いていた。
「玉にいさんですよ~そう呼ばないと機嫌が悪くなりますよ」
京介は、この日のお泊りの為に
大きな荷物を持参していた。
「くっ!だから、何で玉にいさんの家に
俺もお泊まりなんだ?」
「玉にいさんは、ずっと父京一郎を可愛がってきて
亡くなってから寂しい想いをしてきたんですよ」
「ああ~それは、分かるけど・・・
俺まで泊まらなくても・・・」
「ダメです。玉にいさんが楽しみにしてるんだから・・・」
「史郎さんが物凄く心配していたけど
前に何かあったのか?」
「え?別に何も・・・
可愛いお部屋でのお話~
楽しいですよ」
「?」
「行ってみればわかりますよ~
ほら、もう少し~
行きましょう♪」
「あ、ああ・・・」
玉之助は、
玄関先に立つ京介たちを
これ以上無いほどの幸せな眼差しで見つめた。
「あら~~~♥
いらっしゃい~京一郎の息子たち~♪」
既に玉之助の格好は
京汰を凍らせるものだった。
「玉にいさん~もう寝巻きですか?」
「そうよ~今日は、3人で寝巻き会よ♥
京介~お揃いの寝巻き~
持ってきたかい?」
「はい、玉にいさん~
ちゃんと持参してきました~」
風呂敷の中に手を入れて
寝巻きを取り出した。
「京汰もちゃんと用意してるから
後で着てね~」
「あ・・・・・いや、俺は・・・・・」
京介の手に持つ寝巻きと
玉之助の姿に
京汰は、冷や汗が流れた。
「ダメですよ~京汰さんも同じ格好しなきゃ~」
「お前~その寝巻き着れるのか?」
「着れますよ~」
「うう~京介・・・
お前は誰の血が流れているんだ?」
「同じ父親の血が流れてますよ」
「何ボソボソ言ってるのよ!
さあさあ~早く上がって~
今日は、女子会だわね~楽しみだわ」
「女子会・・・って、みんな男だぞ」
「京汰さん~そんな細かいことは気にしない~」
「京介・・・お前・・・・人格疑うぞ」
「何、ごちゃごちゃ言ってるのよ~
まずは、一緒にお風呂に入って、
その後、美味しいご飯を食べて~
それから、いろいろお話しましょうね」
玉之助の家のお風呂も
史郎の家同様
弟子達も入るように
大きな湯船に広い洗い場があった。
3人が仲良く湯船に入っていると
玉之助は
しみじみ呟いた。
「不思議だね~
京一郎が二人も居るようだわ・・・
目の錯覚みたいだよ」
「玉にいさん・・・・」
「こんなにそっくりに成長して
私は、本当に嬉しいよ」
「・・・京一郎ってどんなやつ?」
京汰は、初めて気になっていた事を
尋ねた。
「そうだね~自由奔放に好き勝手生きていたのに
一番自由にならない人を好きになってさ~
ずっと一途に想って
どんなことがあっても諦めなかったね」
「・・・・・・」
京介と京汰は、
二人で顔を見合わせ
亡き父親の面影を浮かべた。
「京汰も京介も
しっかりと京一郎の血を
受け継いでるわ~
本当に不器用でさ~
見ていてハラハラするわ」
「不器用だってさ・・・」
「反論出来ませんよ・・・」
「でも、みんなから愛される子だったわよ
あんた達と一緒~!」
玉之助は
湯船の二人をまとめて抱き締めた。
「あぁ・・・本当にこの子達は
京一郎の子・・・
同じ香りがする・・・」
玉之助の言葉は
どこか寂しげに聞こえた。
京介も京汰も
亡き京一郎を忘れず生きてきた
玉之助を
優しく二人で抱き締めた。
ここにもこうやって
自分の気持ちを隠して生きてきた人が居た。
京汰は、
切なさで涙が滲んだ。
お風呂から上がると
京汰も同じ寝巻きを用意されていた。
「京汰さん~お似合いですよ」
「あ、いや、お前こそ・・・
でも、この格好は
史郎さんには見せられない・・・」
「そうですか?
だいすけさんは、可愛いって言ってくれましたよ」
「・・・・・・」
「今日は、無礼講~
わたしの部屋で楽しく語らいましょう♥」
部屋に行き
その戸を開けた時
京汰は、その光景に唖然となって
立ち止まったまま動けなかった。
「う、嘘だろう・・・・・」
「京汰さん~大丈夫ですか?
ほら、中に入りましょう」
「す、すごい・・・・・桃色な部屋・・・・」
「なにやってるのよ~
さっさと入りなさい」
「は~い」
「あ・・・うん」
居心地悪そうな京汰とは違い
京介は、ふんわりとしたベッドに腰掛けた。
「今日は、ここで3人で寝るには
ちょっと狭いわね」
「俺、床でも大丈夫だ」
京汰は、ふかふかのマットの上に
ちょこんと座った。
「そうそう~玉にいさん~
その引き出しの中、見てもいいですか?」
「あ、京一郎の引き出しかい?
いいわよ。
ほとんどが史郎のものだから」
「なに?京一郎の引き出しって・・・」
「京汰さん~父京一郎は、史郎さんへの想いを
玉にいさんだけには
話していたんですよ」
京介がその引き出し前に座り
手を掛けた・・・
「京一郎は、この引き出しの中を見るのが好きでね~
史郎のものを持って来ては
この中に隠していたね」
「史郎さんの?・・・・・」
京汰の心が
少し痛んだ・・・
京一郎は、ずっと兄である史郎を
愛していた。
亡き後
史郎も同じ想いのまま
ずっと過ごしてきたのは
良くわかっていた。
「俺も見たい・・・」
京汰は京介の横に行き、引き出しの前に
二人並んで座った。
そして、その引き出しを
開けた。
「うわ~
何か一杯入ってる・・」
「なんだこれ・・・・」
史郎が使ったものなのか、
湯飲みや箸、
着物や帯
いろんなものが入っていた。
「京一郎は、ここに来る度
なにかしら持参してきたわね~
一つ一つに想い出があるのよ~
その中を開けては
眺めて幸せそうな顔してたね~」
「史郎さんの事・・・
本当に好きだったんですね」
京介は、しみじみと言った。
「・・・・・・・」
京汰は、言葉が出なかった。
その中に詰まった想いが
痛いほど伝わり、
京汰の心に
片思いだったあの頃を想い起こさせた。
「これは?」
中から一枚の絵が出てきた。
京一郎の笑顔が
鉛筆で描かれたものだった。
「あ~それね~
史郎の学校の宿題だって~
家族を描くって題材に
史郎が京一郎を描いたみたいだね
似てるでしょ~」
京一郎の微笑みの表情から
史郎は、
その想いに
気が付いていたのだろうか・・・
「史郎さん・・・・この頃、父の想いを知っていたんですか?」
「あ?いや、何も感じてなかったでしょ~
なんせ史郎は、馬鹿真面目で
鈍感な奴だったからね」
「今の史郎さんは、そんな事感じない・・・」
「そりゃ~史郎だっていろんなことを経験して
大人になったのよ~」
「・・・・・・」
史郎は、人を手玉に取るような態度で
京汰を翻弄する。
いつも小馬鹿にして
余裕があって、
大人の史郎しか知らない・・・
決して自分の悲しみを
表に出すことはない。
「史郎も苦しんだんだ・・・
京汰との出会いで
やっと幸せを掴めたのなら
私は、嬉しい限りだよ」
「玉にいさん・・・・」
「今は、史郎さん~京汰さんにゾッコンですからね」
京介も嬉しそうな笑みを浮かべた。
「私も、こうやって京一郎にそっくりな息子たちと
楽しい語らいが出来ることが
どれだけ幸せか・・・
あんた達には、京一郎の分も幸せになって欲しい~」
京汰は、
手に持っていたその絵を
そっと引き出しにしまった。
その引き出しの中の物は
京一郎の宝物だったのだろう~
京一郎だけが知ってる史郎の
大切な想い出が詰まっていた。
「ごめん・・・京一郎・・・・」
「京汰さん?」
京介は、急に静かになった京汰を
覗き見た。
「俺は史郎さんと京一郎の事~
知らない・・・」
「京汰~知らなくていいんだよ~
お前は、父親の愛する人だと意識することなく
史郎を愛せばいいのよ~」
「そうですよ~京汰さん・・・
父は、きっと喜んでいるはずです。
だって、史郎さんがとても幸せなんですよ」
「うん・・・・そうだね・・・・」
「ほらほら~そんな湿っぽい話はしないで
いろいろ話しましょうよ~」
「ところで京介~
その大きな荷物はなんだ?」
「あ・・これですか?」
風呂敷を解くと
その中から、
赤ちゃんそっくりな人形が出てきた。
「ひっ!!」
「うわぁ~!!」
玉之助と京汰は、
あまりにも
想像を越えたものに驚いた。
「な、なによその人形!!」
「京介!何持ってきたんだ!!」
「あ・・・これですか?
実はいろいろあって
だいすけさんに頂きました」
「頂いたって、
お前に人形を愛する趣味があったのか?」
「あ、いえ、そうじゃないんですが・・・
なんて言いましょうか・・・
赤ちゃんが欲しいって言ったら
これ・・くれました・・・・」
「京介・・・・・」
「京介・・・赤ちゃん・・欲しいのか?」
「だから、これにはいろいろと事情がありまして~
我が子を置いて出てくることも出来ず
一緒に連れてきました。」
「・・・・・・我が子!!」
「ん?なに手拭い首に巻いて・・・」
「あ、これは、だいすけさんの手拭い・・・
これが無いと眠れないので・・・・」
「京介・・・・赤ちゃん欲しいなんて・・泣ける・・」
「相変わらず大輔が居ないと眠れないのか・・・
しかし、これ、華に似てるな・・・・名前なんて言うんだ?」
「あ・・・名前はまだです・・・」
「俺が付けてやる!」
「ダメです!!だいすけさんが
今、悩んでいるんですから・・・
もう、その姿がおかしくて・・・・」
大輔が真剣に悩んでいる姿は
京介にとって微笑ましく
幸せなひとときでもあった。
「幸せそうだね~京介・・・・」
「玉にいさん・・・・
凄く幸せですよ」
「京汰も・・・・・」
「あ・・・俺も毎日史郎さんと
幸せに過ごしてる・・・」
「あぁ~二人共
幸せな空気が漂って来る!!
わたしにお寄越し!!」
「うわ~~!!」
「あ・・・・」
玉之助は、
二人を思いっきり抱き締めた。
3人は
思う存分
朝まで語り合った。
そして、また来ることを
約束して
それぞれの街へと帰って行った。
「わたしにも、素敵な殿方~
現れないかしら・・・」
っと、玉之助は一言
ぼやいた・・・・
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おまけ
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「だいすけさん・・・いい加減に名前決めてください」
「ちょっと待ってくれ・・・・
しっかり吟味しないと・・・・」
「ところで、この子は
女の子?男の子?どっちですか?」
「・・・・・・・知らない・・・
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二人は顔を見合わせて
大笑いした。
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![花](https://emoji.ameba.jp/img/user/bl/blue-pearl66/14418.gif)
「京汰・・・帰るなり紙と鉛筆で
絵を描けってどういう事だ?」
「いいから、俺のいい顔を描いてくれ」
「お前・・・・玉之助さんの家で何してきたんだ?」
「いいから、愛情一杯描いてくれ~
早く!!」
「うう・・・・我が儘姫~」
史郎は、
京汰の不貞腐れた時の顔を描いて
また怒られました。
![ピカチュウ](https://emoji.ameba.jp/img/user/bl/blackcat-party/1649150.gif)
ちゃんちゃん♪
![あかちゃんまん](https://emoji.ameba.jp/img/user/9p/9p-mayoco/607440.gif)
![花](https://emoji.ameba.jp/img/user/bl/blue-pearl66/14418.gif)
![c.blossoms*](https://emoji.ameba.jp/img/user/pi/pink---rose/83936.gif)
みなさま~こんにちは~
ぺこ <(_ _)>
いや~本当にサクサク書けなくって、仕事に行く支度もしないで
朝から、書いておりました。
平凡だけど幸せな感じが玉之助との語らいで伝わったでしょうか・・・
なかなか難しい~
やっと「よろめき隊」登場~加入されたみなさま~お待たせ~(*^^)v
今回ビスクドールの画像は、楽天で岩沼一二子さん作で6万円で売っております。
あまりの可愛さに、ポチっとしたくなりましたが、そんなお高いお人形は買えません。(´;ω;`)
コメンテーターさんに名付け親を京汰に・・・ってありましたが、
これはやはり父親である、大輔に任せております。
どんな名前になることやら~それより性別を確かめないとね~( ´艸`)
バタバタで画像も適当に載せちゃってます。
まずは、楽しく読んでください。
後で、直しますので・・・
では、もう仕事行きます~v(⌒o⌒)v
皆様も体調にはくれぐれもお気をつけて・・・・
皆様は熱中症にならないように・・・
こちらは、寒いので、風邪引かないようにしますね
マタネッ(^ー^)ノ~~Bye-Bye!