子供の頃、暇になると、たまに変なスイッチが入ることがあった。 くだらないことを思いつき、
即行動するのだ。
小学低学年くらいの頃だったか、その日、僕は家でひとり暇で暇で仕方が無かった。 こう
いう時によくスイッチが入る。 その日も入った。 よし、イタズラ電話をかけよう！ バカな思い
つきだが、数日前に友達からイタズラ電話の話を聞いていて、それを思い出したのだ。
それは、電話局を名乗り、音声のチェックをすると言って受話器を置かせ、相手を電話から
1メートルのところに立たせる。 そしてそこから、アーアー、と声を発してもらい、相手が声を
発している間に電話を切るという極悪非道なものだ。
僕は、おもむろに受話器を取りダイヤルを回した。 番号は適当である。 呼び出し音が鳴
る。 ドキドキする。 受話器を取る音がし、オバサンが電話口に出た。 ハイ、○○ですが、
僕は緊張しつつ、電話局を名乗り上記の内容を相手に言った。 すると、一瞬間をおいて、わ
はははは！ と、オバサンが笑いだした。 頭から血の気がサッと引く。 どうやら、このイタズ
ラ電話の話は有名らしく、オバサンは知っていたのだ。 そして、何も言えず石のように黙っ
ている僕にオバサンは、
バカ。 と、一言残し電話を切った。
イタズラ電話を仕掛け、光の速度で相手にバレて、バカ、と言われ悶絶する小学生。 オバ
サンの言うとおり、バカ、である。 今、この場にあの頃の僕がいたら、バカ！ と、ビンタの2、
3発でも喰らわしてやるのにと思う。 声だけでもバレる。
救いようの無い話だが、僕はスイッチが入り、行動すると、ほぼこのような情けない結果に
なっていた。 今は、あの頃のように頻繁にスイッチは入ったりしないが、たまに入る。 誰か
に迷惑をかけるような変な行動は無いと思うが、結果は変わらず情けないし、恥かしい。
亀久
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