連行 | もうすこし、生きてみようじゃないか・・・

 昨日、サザエさんを観ていると、またカツオが悪さをし、サザエさんに服の襟首をつかまれ




家に連行されていた。




もうすこし、生きてみようじゃないか・・・




 マンガなどでよく見る光景だが、実際に襟首をつかまれて連行されたり、つまみ出されたり




する子供を見た方はいるだろうか。 ましてや子供の頃にされたことがあるという方などいる




だろうか。 僕はある。 見たことがあるのではなく、されたことがあるのだ。 




 子供の頃、1人で近所のスーパー屋上にあるゲームセンターに遊びに行ったときのこと。




 僕は、お金を持っていなかったので、もっぱら人が遊んでいるゲームを見たりしていた。




 しかし、それにも飽き、店内をブラブラしていると、パンチングマシーンを見つけた。 僕は




もちろん狂ったようにポカポカと殴った。 お金を入れてないのでゲームは起動しないが、パ




ンチングマシーンのサンドバッグのようになっている所を ビシュー! ガシッ! などと口で効




果音を出しながら殴り続けた。 すると突然、大きな手が僕の襟首をつかみ上へと引き上げ




た。 見ると、作業服を着た店のオジサンであった。 オジサンは僕の襟首を引き上げたまま




無言で店の出入り口まで連行した。 




もうすこし、生きてみようじゃないか・・・




 先程まで狂ったようにパンチングマシーンを殴り絶好調だった僕のテンションは急降下である。




 そして連行中、 うわっ、僕、マンガみたいになっている・・・ と思った。 恐らく周りで見ていた




人たちも、 おぉ、子供がマンガのようにつまみ出されておる、いいものを見たわい、 と思った




に違いない。 




 一見、マンガの中ではユーモラスな光景だが、実際にやられると死ぬほど恥かしい。 未だ




にあのオジサンの手の感触は覚えている。 あれは効く。





                                                       亀久






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