悪魔の囁き | もうすこし、生きてみようじゃないか・・・
 数年前、通勤ラッシュの電車に乗っていたときのこと。



 僕の前には、五十年配のサラリーマン風の男が立っていた。 



 電車が動き出して間もなく、その男が、おもむろにスーツの内ポケットから携帯電話を取



りだし、メールを打ち出した。



 決して見たかったわけではない。 男と僕は、密着するように立っており、男はこちらに背



を向けてる。さらに、男の身長は、僕の身長よりも十数センチほど低かったため、どうしても



肩越しに見えちゃったのです。





 ・・・言い訳はさて置き。



 おそらく妻も子供もいるであろう五十年配の男が、朝から誰に、何を打つのだろうと見てい



ると、『○○ちゃん おはよ!チュッ』 と、来た。 しかも、『チュッ』 の後には、ハートマーク



がついていた。





 僕は、他人のメールを盗み見している自分のことは棚に上げ、このオヤジはダメだな、と



思った。 と、同時に、今、このメールの文面を男の耳元で囁いたら、盗み見されていると



は知らないこの男はどういう反応をするだろうか、とも思った。



 多分、顔を真っ赤にして怒り出すか、乗客を掻き分けて別の車両に移るかのどちらかだ



な。 などと想っている間に終点駅に着いた。



 まぁ、男が既婚者か未婚者かは、わからない訳だが、僕は暇なとき、おもしろそうな人



を見つけては、頭の中で勝手なストーリーを作って時間を潰している。





                                                   亀久



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