続・三匹がゆく その二 | もうすこし、生きてみようじゃないか・・・
※ その一からお読みください。





 車を駐車場に止めた我々3人は、まず滝を見ることにした。 途中、サ



ルを見かけた場合、即、報告し合うことと決め、滝道入り口に立った。



 看板があったので見てみると、片道2.8kmとある。 そろそろ帰るか、



と誰かが言えば、恐らく帰っていたであろう。 道は、舗装されていると



はいえ登り道。 中年二日酔い男たちにとってそれは、登山といっても過



言ではない。 だが、せっかく来たのだから と、それは誰も口にせず、ト



ボトボと歩き出した。





 登りだすと、側を流れる箕面川や、美しい自然の景色に我々のテンショ



ンは簡単に上がり、着てよかったな などと言い合った。 しかし、半分ほ



ど歩いた頃には、暑さと二日酔いで簡単にテンションは下がり、口数も減



り、やがて3人は一言も言葉を発することなく下を向き、フラフラと登るよう



になっていた。 それでもTは、言いだしっぺの責任を感じたのだろうか、



キャミソール姿の女性を見て、あぁ、涼しそうだな、俺もキャミソールを着て



くればよかった・・・ と、渾身のギャグを言い放った。 しかし、僕とKは、そ



れを黙殺した。 



 それからさらに数十分、3分の2ほど登ったところでTが、ついに逆ギレ



モードに突入し、なぜ、こんなことに・・・ とブツブツ言い出した。 そして、



Kにいたっては、近くの木の枝にとまっているカラスを 見て、鷹だ、鷹がい



る! などと、妙なテンションを上げてしまう事態に陥ってしまった。



 僕がしっかりしなければ・・・ と思うも、苦手な虫を警戒しながらの登山



は、僕の精神を蝕み、何でも虫に見えてしまう虫モードに突入させていた。





 もう少し、滝道が長ければ僕たち3人は確実に遭難してただろう。 



 僕たちはフラフラになりながらも約束の地、箕面の滝へついにたどり着い



た。 3人は、導かれるように滝の側まで行き、体いっぱいにマイナスイオン



を浴びた。





 最高の気分であった。 滝周辺には、土産物を売る店や、食堂が並んで



おり、僕たちはそこで名物といわれる行者そばを食べた。 美味であった。



 しかし、食べ終わるとすることもなく、僕たちは下山することにした。 また



あの道程を歩くのかとうんざりしたが、マイナスイオンと行者そばのパワー



なのか、変なモードに突入する者もなく、楽に下ることができた。 途中、



Tが朽ちた切り株を見つけ、サルのように棒を持ってほじくりだしたが、これ



は、クワガタを探している行動で、Tの習性である。 変なモードに突入した



わけではない。 僕もクワガタは大丈夫なので、近くに寄って見ていると、T



が、おっ と言って棒を持ち上げた。 棒の先には、パンティーストッキングが



絡まっていた。 やはり、このサル(T)はここで葬り去った方がいいのではな



いだろうか・・・と、ふと思ったりした。





 まぁ、しかしいい旅であった。 帰りの車中では、次はどこへ行こう、今度



は泊りがけで行こうなどと盛り上がった。



 この3人を筋肉痛地獄が襲うのは、次の日のことである。



 結局本物のサルには、出会わなかった。 





                                          亀久





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