僕の隣は空室になっており、先日は僕の部屋の真下の住人が出て行き、さらに一昨日
は、同じ階の二軒隣の住人が、引越しセンターのマークがついた段ボール箱を運び出し
ていた。
二軒隣の住人が出て行くと、その階に住んでいるのは僕だけになる。
(う~む・・・みなさんは新天地を求め、出て行くんだろうなぁ・・・)
と、寂しさと、置いてきぼりになったような焦燥感が、僕に少し湧いた。

そして、僕は思った。
部屋の前にある放水口の中にエロ本を見つけ喜んだり、マンションの前に停めてある
自分の自転車のカゴの中にエロ本が捨ててあって喜んだり、ヤクルトレディに挨拶をさ
れ喜んだりしている場合ではないのではないか・・・。 僕も新天地を求め、旅に出なけれ
ばいけないのではないか・・・と。
しかし昨日、玄関ポストに、よく出前を頼む近所の安くて美味い中華料理店の新しいメ
ニューがはさまっていて、見ると、全ての料理の値段が、100円から200円下がっており、
興奮した僕の口の中に、お気に入りの五目やきそばの味が蘇った。

(新天地は今度でいいや・・・)
と、思った。
亀久
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