僕は、指定された時間よりも15分程早く待ち合わせ場所に着き、
携帯灰皿を片手にタバコを吸っていた。 すると、前を行き交う人込
みの中を、僕の方へ一直線に歩いて来る女性がいる。 しかも、か
なりの美人である。
あまりジロジロ見るわけにもいかず、別方向に顔を向けながらも目
の端で女性を捕らえていたわけだが、女性はなおも一直線にこちら
へと向かってくる。 その周辺に立っているのは僕一人である。 僕
は思わず女性を見た。
すると、女性は僕の顔を見て ニコッ と笑ってみせたのである。 僕
は、もう一度周囲に誰も立っていないかを確認し、女性を見た。 する
と、今度はなんと僕に手を振ったのである。

『来た・・・。』 と、思いました。 『運命が来た・・・。』 と、思いました。
すかさず僕も、顔に満面の笑みを浮かべ、腕が抜けんばかりに手を
振ろうとしたその刹那、女性は、あっ という顔をし、90度方向転換し、
足早に人込みへと姿を消した。
・・・・・まぁ、友人か誰かと勘違いをしたのだろう。
・・・・・したのだろうがだ!
あの瞬間、女性との結婚、楽しい夫婦生活、家族が増えた喜びなど
を妄想してしまった、この純粋無垢な中年の心のテンションはどうすれ
ばいいのだろうか!
その後、知人と会い、用事を済ませ、そのまま居酒屋で呑んだ。
しこたま呑んだ。 心臓が少し痛かった。
亀久
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