僕は、輪ゴムでハエを射止めたことがある。 しかも、目を閉じたままである。
まだ実家に住んでいたとき、僕が自分の部屋でテレビを観ていると、一匹のハエが入
り込んできた。 ハエは飛び回り、うるさくて仕方がない。 イライラした僕は、はじめは
殺虫剤で退治しようと思ったが、ふいに輪ゴムで射止めれないだろうかと思い、輪ゴム
を用意し、部屋に戻った。 ハエは天井あたりを旋回している。
僕は、つけていたテレビを消し、部屋の中央であぐらをかき、目を閉じた。

(左・・・・)
(右に行った・・・)
(後ろに回った・・・)
と、ハエの羽音で、だいたいの位置はわかる。 僕は、さらに神経を集中した。
しばらくすると、ハエの羽音がピタリと止んだ。 僕は静かに輪ゴムを左手の親指に
掛け、反対側を右手の人差指と親指でつまみ、引っ張った。 そして、放った。
天井に輪ゴムが当たる ピシッ という音がした。 僕は、目を開けそこを見た。 すると
なんと潰れたハエが天井にへばりついていたのである。 僕は、驚きのあまり、しばし
呆然とし、自分には特別な力があるのではないか・・・。 と、思ったが、今のところない。
と、言うか、あったとしても、あのハエ退治で全部使ってしまったと思う・・・。
もったいないことをした・・・・・。

僕の愛読書 『バガボンド』 の宮本武蔵を描いてみた。 久々にGペンを使った。
手が、プルプルした。
亀久
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