カップルは、同じ服を着ていた。いわゆるペアルックというやつである。 (ほう、仲のいい
ことですな) などと思いながら僕は、吊り広告を眺めていた。

すると、カップルが何やらヒソヒソと話をしだし怪訝そうな顔を時折こちらに向けている。
(なんだろう・・・) 僕は、落ち着かなくなりズボンのチャックの閉め忘れなど、いろいろ調
べてみたが、別に変わったところは無く、もう一度カップルの方にチラリと視線を向けた。
その時僕は、すごいことに気づいてしまった。 カップルの怪訝な視線にも納得がいった。
色は違うが、なんと、カップルが着ている服と、僕が着ている服が同じなのである。

三人の間に猛烈に気まずい空気が嵐のように吹き荒れた。と、同時に怒りのようなもの
が僕の中に込み上げてきた。 (なぜ、一方的に俺を悪者のような目で見る) (2対1で
俺の負けなのか?)
(・・・・いいか、俺は次の駅で降りる、が、逃げるんじゃないぞっ) (はじめからこの駅で
降りる予定だったんだっ) (俺はこの駅で降りなきゃいけないんだっ) と、心の中で絶
叫し、怒りのオーラを放ちながら、目的の2つ手前の駅で降りた。
亀久
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