街が泣いてた
小学生だったぼくには「現在」しかなかった。近所には同学年の子どもがたくさんいて、駄菓子屋がいっぱいあって、八百屋も本屋も電気屋もみな個人商店が賑わっていた。そんな状況が幸運だったことは後になって知る。戦後とかベビーブームとか高度経済成長とかバブル社会とか世の中のことは、子どもに限ったことでもなく、みな振り返ってみればなのだ。それを時代という。
Oh My Good-bye Town 住みなれた街
想い出という甘くからい 味は忘れはしないけど
伊丹哲也&Side by side (1980年)
「街」が主題になった時代があった。『大都会』でクリスタルキングが、『パープルタウン』で八神純子が、『TOKIO』で沢田研二が、夢と希望に満ちあふれている街、そのものを歌った。すべて1980年のヒット曲。
偶然にも『街が泣いてた』の舞台と思われる大阪の街は泣いていて、みんな東京を目指していた。それもわかりやすい時代の図式だね。
Oh もうさよなら俺の街よ
そうと決めたはずの 俺だった