かめ新聞
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善福寺の家11

画家古賀春江の『窓』という絵/詩がずっと頭の中にありました。

一枚の絵や詩が建築のイマジネーションをかきたてる。託児所の設計から工事監理のあいだでお施主さんとの話しあいを重ねるうちに、そういうことは好もしいことのように思うようになった。

 

 

『窓』

沢山な窓のある家、

一つ一つの窓から顔が出てゐる。

顔には地図が描いてある。

みんなの地図が読める、

鳥籠も描いてある、花もあり、コップも、望遠鏡も、並ぶ顔、水筒、

霧、黎明とパイプも確実につながつてお互の陰翳を持つてゐる。

痙攣する避雷針の窓からまた一つの顔を見ないか、

揺れる、揺れる、椅子が、星が、

黒い夜の絵具は沈黙して語らない――その後の顔等に就いては。

今はただ明るく揺れる顔がある。

 

 

 

6つの部屋と、それを〈隔てつつ繋げている〉吹抜け空間は、まるで窓が本来持っている〈外と内を隔てつつ繋げている〉役割そのもののようだ。

そしてこの小さな空間にその吹抜けがふたつもあることによって、窓の数は必要以上に増える。さらにそれを過剰に楽しむかのように、押入れの扉も必要以上に扉だらけだ。

 

 

 

この詩の最後にある「黒い夜の絵具は沈黙して語らない」は、皆が帰ってしまった夜の託児所の遊具や絵本が戯れるイタズラな妄想をかき立ててくれた。

そのために建築は、遊具と絵本と椅子と棚と扉と建具と手すりと、、が切れ目なくつながっていなくてはならなかった。

そして、設計への思いを写し撮ったかのようなクライアントのカメラ目線には驚くばかりなのであります。

 

 

 

 

 

  

 

写真)イワタユタカ フォトグラファー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

善福寺の家10

   例年なら春先に仕事の依頼が多かったが、今年はコロナ禍でそれもない。というわけでプロジェクトの整理を兼ねて振り返りつつ、設計の進め方のご紹介です。

 

 新築工事の設計依頼を受けた場合、最初の提案には複数案を出すようにしている。

 クライアントとのつきあいが始まったばかりで、要望を聞くだけでいきなり正解にたどり着くわけもないというスタンスです。敷地になぞらえて、なるべくタイプの違う案を作ることで、私たちもクライアントも敷地やプロジェクト自体の可能性を広げることを大切にする。

 また案を描く前にも、クライアントと会い、話し、敷地を調査し、役所と事前協議を行い、などするので3ヶ月くらいかかります。そしてプレゼン。善福寺の家では3案だった。

 この中に最終形の原型となる案がありました。2番目のスケッチがそれ。1番目は複雑系で予測不能な魅力を感じられましたが、2番目の不連続な空間の中にある秩序(部屋は独立しているがバラバラにもならない安心感)がご自身の保育哲学に合うことを見抜かれていました。

 

 

 

 

 

モビール

緊急事態宣言から3週間ほどが経過したが、状況は日増しに悪くなっているようだ。

市川はかなり初期の段階で感染者が出ていたことから、緊張が長く続いている。

そんな中、(や)が大門通りをちょっとでも明るくしようと、かめ設計室モビールを作製した。

(は)が描いたホームページのトップ画をモビールに仕立てたもの。

いつものギャラリーに少し遊び心が加わった。

取り付けるなり、「お父さん、見て見て!すげー!」と興奮気味の歓声が聞こえました。

 

 

善福寺の家9

3月末ギリギリに引き渡しを終え、引越しになんとか間に合った。

と思ったらこのコロナ禍によって、オープンも延期となっている。

そのことを前向きに、着々といろんな準備や仕込みを始めておられます。

建築関係の内覧会も、子供たちが活動している竣工写真も、ひとまずおあずけです。

 

 

 

 

 

善福寺の家8

3月末、善福寺の家のラストワーク。

保育室の和紙ちぎり貼りワークショップを、運営者のみなさんと一緒に行いました。

和紙と施工指導は、いつもお世話になっている京都の和紙職人ハタノワタルさん。

かめ設計室の工事をお願いするのは、船橋アトリエも加えるとこれで6件目です。

そして最後の仕上げを、この建物を一緒に考えてきた人たちとできることが何より嬉しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

善福寺の家7

 善福寺の家を運営する、Cocoon parents squareのサイトができました。気合の入ったHPになっており、この社会への思いも詰まっています。これからの時代に本当に必要な活動です。どうぞご覧ください。

 また、アーティストのayanicocoさんがそのCocoon parents squareのロゴマークを外壁に描いてくれました。最近横浜スタジアムに巨大ウォールアートを描かれました。そしてそのロゴマークを考案したのがデザイナーの濱中幸子さん。今回のプロジェクトをご紹介いただいた方です。みなさん共通のアーティスティックな仲間、しかもカッコいい女性っていう、ね。

 こうした方々と共感と感動をもってこのプロジェクトがここまで進んできました。建物もあと少しで竣工です。

 

春のインターン

 春休みを利用してインターンやオープンデスク生が来ている。

 毎年ほんとにバラエティに富んだ若者たちが集まるけれど、今春は専門学校生19歳と東大生21歳というバランスで、真ん中にいるのは若き1年目のスタッフです。3人並んでだんご三兄弟^ ^

 昨夏に来ていた中3の女の子のために作ったスライド『14歳のための建築講座』をバージョンアップして、『20歳のための建築講座』として認識と方法論についてのスライド会を開いた。

   あまりチャレンジしない保守的な自分をわかっているなら、次の一手は大きく踏み出そう!

 

 

 

善福寺の家6

東京に珍しく雪が降った。あたりが白くなるくらいに。

そんなファンタジーなシーンのなかで、モザイクタイルワークショップ。

託児所を運営する方たち親子が集まって、すべてお任せしてみた。

使うタイルや色はあらかじめ選り分けておいて、黙って見ていたら、

程よく話し合い、みんな明るくダメ出しあってどんどん良くなっていく。

普段から子どもたちがアートやつくることに親しみを持ちながら、

そんな活動自体が保育になるような場所になりますように。

 

 

 

 

リップル保育園2

   バリアフリーと消防の検査が終わり、竣工まであと少し。新型コロナウィルスの影響は現場によって様々だが、ここでは便座がまだありません。

   内装リノベーションなので、天井高さと外壁周りの開口部はそのままにして、代わりに床高さを変えたり、中央に事務コーナーや身障者トイレを置いたりして、空間を分節している。

 

 ありがたいことに保育園等の児童福祉施設を設計させていただく機会に恵まれているが、施設にかかるバリアフリー法や条例について思うことも多い。例えば、規模にかかわらず一律に規制するのはどう考えてもおかしい。またルールが厳しすぎてプランニングに自由がないから、どこの施設も似かよったプランになる。どうも法の役割を超えてるんじゃないのか、などなど、また改めて。

 

 

善福寺の家5

   部屋、吹き抜け、部屋、吹き抜けという空間構成は、新宿駅のホーム、線路、ホーム、線路と同じだ。現場帰りに中央線の車内から、いつもより妙に人気の少ないホームを見通せた時にふと思った。

   小さな小さな建築でも距離感が面白い現場です。仕上げが入ってくると、より際立つはず。

 

 

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