続・剣持勇と親父の椅子 | かめ新聞

続・剣持勇と親父の椅子


 かめ研修旅行の途中、ようやくと言っていいのか念願だった剣持勇「籐丸椅子」の日本でたった一人の製作者佐野さんの仕事場を訪れる事ができた。毎月10個程度の丸椅子を製作しているとのことで、伺った時も骨組みの段階や編み始めた段階から完成した椅子までいろいろな制作過程を目にする事が出来た。子どもの頃から見慣れた仕事場の風景だが、佐野さんの表情や仕草までも昔の親父によく似ていて実に不思議な感覚を味わった。

 以前紹介した親父作の丸椅子も見ていただくことができた。本家に真似事の椅子を見せる訳だから心配もあったが、話している間ずっとその椅子を手に取って見て下さり「なかなかよく出来てる」と笑顔で言っていただいた事は何よりもうれしかった。写真のように親子で記念撮影!

 籐職人は日本にはもう数える程しかいない。それもほとんどは高齢者となった。籐自体が日本には生育していないうえに、圧倒的に東南アジアの手間が安いから、残念ながら日本の職人は淘汰されてしまう。微力ではあるが、これから少しずつブログで籐製品を取り上げつつ、籐という素材の可能性を紹介していきたい。家具はもちろんだが、建築の素材としても籐を活かしていく道を探っていきたいと思う。