築50年以上の古民家には、環境面・文化面において、それぞれの価値を持っていると感じます。
しかし、現在では、なかなか手に入らない自然材料が使われている事を意識せず、また伝統構法の木造軸組み
を理解せず、施主のその時代のライフスタイルの変化に合わせる要望のみを最優先に、増改築・リフォームする
ことで、結果的に建物としての価値(使いかって等)を下げているものが多くあることに気がつきます。
原因は、その建物に責任・愛着をもつ職人が引き継がれていかないことにあると思います。
正しいことを引き継ぐことの大切さが解かります。
そして、適時のメンテナンスをすることが、建物を長寿命に導くことは確かです。
各地域において、身近に正しいことの提案が出来る、古民家鑑定士を多く育成すること、そして地域において古
民家鑑定士同士が情報交換し理念を共有ていくことが、価値ある古民家の再生・活用に一役になると考え、コツ
コツ行動していきます。
政府は2020年までに、全ての新築住宅・建築物を対象に省エネ基準適合を義務付けようと検討を進めていま
す。外壁・窓等の躯体の断熱性の他に、義務化を目指す新基準には、自然エネルギー利用・設備(暖房・冷房・
給湯など)のエネルギー消費量です。
悪いことではないと思いますが、省エネの原点であるもったいない精神が失われ、古民家・伝統文化の継承に
支障が出る、所有者の再生・活用をする気持ちが損なうことの無いように、先人が残した建物との融合を考えて
生きたいと思います。
そして、築50年以上の古民家に価値があることを、まず所有者に理解していただく、努力もしていきます。
これから、多くの古民家に出会えることを楽しみに