エバ・シンポジウムのコーディネーター兼講演者を15年やっています。
私は毎年の出来事を元に基調講演をしています。
今年は、私のかけがえのない母が1ヶ月半前にがんで亡くなりました。
「かけがえのないもの」は人生でどつぼにはまったときに見つける。
母との葛藤
反抗していたら二十歳の頃に母がアメリカに移住してしまった。
戻ってきて、末期がんが発覚して在宅看護して看取った。享年81歳。死との対面をした。
震災発生後に慈悲の怒りを出版した経緯。
宮城県名取市の映像を見て津波にのみ込まれていく人を東京でテレビで見た。
テレビで見てて良いのか?助けられるのだったら助けたいが、助けられない。従って目が離せない。
訳の分からない状態だった。ただ呆然としていた。
翌日、原発事故が危ないとのニュース。
子どもが危ない、自分で守るしかないと思い、自宅の換気扇など隙間を密封した。
風が危なそうな日は子どもを幼稚園にまでわざわざ迎えに行ったり、家の中に入らせたりした。
そして、妻と5歳の娘と0歳の双子の娘を妻の実家に疎開させた。
自分と末期がんの母親は東京に残った。
報道は連日、「頑張ろう日本!」の繰り返し。
誰が誰にどこでどのように頑張ろうと言っているのかあいまいなので、学者として何か示さないといけないと思い出版を決意した。
震災前の日本はみんながハッピーでかけがえのない日本だったのか?
否、それ以前から日本は傾きかけていた。
前回の講演で、肩の荷を下ろして生きる。今の日本は第3の敗戦ではないか?
①明治維新 ②第二次世界大戦 ③大震災 と語った。
しかし、現代人はそれよりも若いので、次のように再定義した。
①第二次世界大戦 ②バブル崩壊 ③日本の信頼喪失(偽装問題等)(④大震災)
現在政治などでの分配機能がうまくいってない。
自分の分け前を他人に渡すか?そういう人は少ない。
小泉首相当時、使い捨ての時代。人間も使い捨て。でも小泉首相は人気No.1だった。
自分を使い捨てと思う人は自分を尊重できない、他人を尊重できない。
「ありがたさ」、「かけがえのなさ」を実感できない人が多くなった。
ある大学の講演で学生に、「自分を使い捨てと思う人?」と聞いてみた。
結果、約半数の人が手を上げた。
震災の復興と同時に、「第3の敗戦」からの復興も同時にやらなければならない。
このことをすごく言いたい!
プロセスがごちゃごちゃになっていて分からないので、まず、天災と人災を分ける。
地震と津波は(一部人災の要素はあるが)総じて天災。
原発事故は人災!
みんな仲間なんだから救っていかなければならない。被災地の人々だけではない。
大学生が自分を尊重できない、他人を尊重できないのはしょうがない。
責任はない。それは大人の責任である!
大人を見て子どもは育つ。使い捨て社会を作ったのは大人の世代。
この社会には救いがない、信頼がない。ではなく、みんながみんなを支える社会であれば、先の大学生の答えは違っていたはず。
原発事故は中学生くらいでも想像できるくらいのレベル。
なのに、なぜ有名大学出身者の集団が予測できなかったのか?
中国新幹線の事故があったが、日本の新幹線で事故は起きていない。
原発事故の原因は徹底的に追求しなければならない。
原発事故は、第二次世界大戦敗戦と状況が似ている。
当時アメリカと対戦して勝てると思うか?国力が違いすぎる。
私は2冊の本を読んでなるほどと思った。
猪瀬 直樹氏著「昭和16年夏の敗戦」
昭和16年夏の敗戦 (中公文庫)/猪瀬 直樹

昭和16年12月8日真珠湾攻撃、日米開戦。
半年前の16年夏に30人の優秀な若者を集めて日米対戦をシミュレーションした。
敗戦するとの結果を報告した。
実際、絵に描いたように、シミュレーション通りに敗戦し、約300万人が死亡した。
敗戦するとの結果を報告するが、東條陸将(後の首相)は、「戦争はやってみないと分からない。日露戦争の結果を予想できたか?君たちは若いから分からないだろう。この報告は以降口外しないように。」
首相は分かっているのに、公に発表しない。なぜか?
丸山 眞男氏著「現代政治の思想と行動」軍国支配者の精神形態
〔新装版〕 現代政治の思想と行動/丸山 眞男

東京裁判当時の軍国支配者たちはどういう精神形態だったのか?
私個人は参戦に反対だが、公の立場としては言えなかった。
意見は意見、国策として決まった以上は実行しなければならない。
なので、私には責任がありません。
などと語った。
この軍国主義者と現在の日本人の精神形態は近いのではないか?
東電の発表はよく似ている。
(続く)
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