なぜボブ・サップはローキックをトレーニングしたのか?
いきなりこの言葉を聞いてハァ? と思う人は多々いると思うが、ボブ・サップに対してハァ? と思う人は少なかろうと思う
ご存じ格闘界からお茶の間まで一世風靡した巨体黒光りの男“ザ・ビースト”ことボブ・サップである
K-1から総合格闘技、プロレス、バラエティ番組に出演したり、まさかのCDデビューまでした男である
最初の文に戻ろう
ボブ・サップは、かつてNFLに所属し、その巨体と突進力を生かした猪突猛進型とも言われるファイトスタイルで、当時デビュー間もないにもかかわらず数々の猛者たちを倒していった
破竹の快進撃。それに対して、格闘界の王者たちは黙っていなかった……「ド素人をこれ以上のさばらせるなッ」
武蔵、ピーター・アーツ、レミー・ボンヤスキー、ミルコ・クロコップ……数々の王者たちがボブ・サップに立ち向かい、敗れていった、わけでもなく、ボブ・サップは一瞬にして彼らに打ち砕かれた
所詮、素人
しかし、ボブ・サップは黙っていなかった
今までの怠惰を取り戻すかのような激しいトレーニング、そして極真空手の門を叩いたりと、世界中が彼の動向に期待した
そして、試合になり、何と彼はローキックを覚えたと言うのだ
おいらはここでテレビを見ていて、ハァ? と思ってしまった
ローキックなど、武蔵のような空手出身者のようにどっしり腰を据えて闘う者が相手の体力を奪うために使う小技である
もちろん小技であるから、何発も撃ち込まなければいけないし、持久力も必要になってくる
先ほども言ったが、ボブ・サップは突進型で、なおかつNFL出身にもかかわらず持久力もあまりない(まあ格闘技とスポーツの持久力の使い方は違うのだが)
当然ボブ・サップの小突き程度のローキックを真面に受けて効くはずもなく、逆にローキックによって倒されてしまった
ここでの彼の間違いは、自他ともに認めるはずであろう巨体と太い腕、そして突進力という彼の長所というべきパワーを使わず、あろうことかそれらを全くの無駄にしてしまう小手先技術を武器に試合に挑んでしまったとである
全世界は彼を大馬鹿者と罵ったであろう
当然僕も彼の間違ったファイトに対して、大馬鹿者と罵った
しかし、今思うと彼の行動は当然と言えば当然の行動なのだと思うようになった
彼とて自分に自信がなかったわけではなかったであろう
しかし、世間には彼よりパワーが上の格闘家もいれば、さらに技術も当然上というものもいるはずだ
それに対峙した結果、自分の力に自信が持てず、それを捨て、新たに小手先技術を得ようとしてしまう
おいらの周りでもやはりそのような人が多々見られる
自分では得意だ、自信があるって思ってたものが、世間ではそれほど大したことでもないことに気付き、打ちのめされてしまう
どうしようかと悩んだ挙句、他の技術に手を出してしまい、小手先技術になってしまい失敗する
他人の目から見て、それを間違いだとはっきり言えるのだが、本人にはやはりわかってないことが多い
本人は良かれと思ってやっているのだから
この良かれが一番やっかいなのだが、こればっかりは本人がどうするか決めなければ解決は出来ないであろう
年齢を重ねるにつれて、知らなかったことが段々だとわかってくるようになってくる今日この頃である