11月末、東京ビッグサイトで「国際航空宇宙展2018東京」が開催された。

国内外から航空、宇宙、防衛産業など520社・団体が出展、3万人が集まった。

その内、海外からは日本の安全保障環境を商機と捉え112社・団体が出展した。

 

国際経済に暗雲が垂れ込める今年は、航空機業界も再編成期にある。

一方、日本政府は12月中旬にも閣議決定しようとする「防衛計画大綱」で、軍事組織がネットワークへの依存を深めていることを踏まえ、サイバー攻撃に対抗するとして、従来の陸海空の能力に加え、「サイバー」「宇宙」「電磁波」の領域を活用した多次元の「領域横断作戦(クロス・ドメイン・オペレーション)」を明記、実現の可能性を探る。

また、経済産業省は製造産業局(航空機武器宇宙産業課)を「窓口に中小の部品メーカーにも航空宇宙産業への参入を呼び掛けている。

これにより2年前に比べ地方自治体や地域企業のブースが一気に増え、その数は16にもなった。

展示の内容も「航空宇宙ショー」というよりも「武器商談会」の様相を呈した。

会場には各国のミサイルや無人機、武装ヘリが所狭しと並んだ。

 

防衛産業庁のブースには、ミサイル防衛用誘導弾ノーズコーンや、装備庁がIHIに委託・研究試作してきた世界トップレベルの戦闘機用エンジンXF9(推力15トン、燃焼機出口温度1800度)が展示された。

 

防衛分野のもう一つのメインテーマは無人機。

日本の偵察用無人機の開発は途上にあるため、米ノースロップ・グラマン社製のグローバルホークを3自衛隊共同で運用する前提で導入する。

理由は日本向けに製造する部品がなく、追加費用がかかり、当初3機分で約510億円と見積もっていた価格が約23%増の約630億円とあまりにも高額に膨らんだからだ。

 

初日の基調講演で経産省製造産業局の井上宏司局長は

「日本にとって航空宇宙産業は非常に重要。

平成30年度には3兆円を超えることを期待している。」

「全国各地で、航空機産業クラスターの活発化を広げ、地域ごとに共同受注、取引する体制が整いつつある。

従前はサプライチェーンの強化だったが、今後は中小企業のクラスターのネットワーク化、テーマ、セミナーの開発、海外展開の支援、ビジネス、マッチング、アジア航空機のサプライチェーン作りが必要だ」

と抱負を語り、民間と防衛分野での関連では宇宙産業の開拓をする方向を述べ

「当面8000億円を目指す」

との目標を明らかにした。

 

また、防衛装備庁の深山延暁長官は

「我が国を取り巻く状況は、領土問題、主権、安全保障などいわゆるグレーゾーンに囲まれています(失笑)。

これに対応するには情報取集が必要で、兵力の展開ではなく『C3I+情報収集と検索』も重要不可欠。

我が国の防衛開発、研究で無人機、レーザー、レーダーも不可欠。

またJAXAの衛星には防衛相のシステムも組み込まれ、ミサイル防衛用の超音速誘導弾も完成した。」

と述べた。

 

今夏、防衛省は2019(平成31)年度概算要求を発表。

防衛関係費の要求額が前年度予算と比べ7.2%(35380億円)増加の5兆2926円と過去最高額の要求となった。

 

ところがこの国際航空宇宙展示会期中の11月29日、『東京新聞』が

「米兵器ローン急増 来年度予算圧迫 防衛相、支払い延期要請」という特ダネを放った。

防衛省が

「高額な米国製兵器の輸入拡大で『後年度負担』と呼ばれる兵器ローンの支払いが急増」

「国内防衛企業62社に対し、防衛装備品の代金の支払いを2~4年延期してほしいと要請」

「異例の事態となっている」

と安倍政権に冷や水をかける記事だ。

「編成中の19年度予算の概算要求では、要求基準の事実上2千億円超過している」

という。

 

米国の要求を何でも受け入れる安倍政権による米国兵器の輸入拡大が、予算の大幅増にも関わらず、防衛費を圧迫している実態が鮮明になった。

 

いずれにしても、こうして着々と日本のさらなる軍事大国化が進行している中での防衛大綱だが、従来概ね10年をめどに改定されてきたところ、現行の大綱決定は2014年だから、大幅な前倒しだ。

なぜ、急いで改訂するかというと、「専守防衛」の枠をはるかに超え、軍事費の「GDP枠1%」枠も踏み超えることが安倍政権なら可能と考えているからだ。

つまり、今のうちに、安倍晋三政権のうちに、改定してしまえということなのだろう。

 

新大綱には、2015年に配備された海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」(全長248m・全幅38m)を「空母化」する方針を盛り込む。

米国製ステルス戦闘機F35Bが離発着できるように、乾パンなどを改造するという。

 

政府・自民党は空母と言わず、災害派遣などにも対応する「多用途運用母艦」と言っている。

だが、改造「いずも」は

「航空機を積み、これを艦上で発着させるための飛行甲板を備え、また、格納・修理設備を持つ軍艦、すなわち、「航空母艦」である。

 

歴代の内閣はこれまで憲法9条の下で、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や長距離戦略爆撃機、攻撃型空母は保有できないとしてきた。

ところが事実上の空母を「多用途運用母艦」と言い換えて本質を隠すことで批判をかわし、既成事実を積み重ねようとしている。

言い換えて国民を欺こうとするのは安倍政権の常套手段だ。

 

改造「いずも」に搭載するのはいずれも短距離で離陸・垂直に着陸できるF35B。

政府はF35B20機を含む「F35」を米国から100機も購入する検討に入ったと報じられている。

取得額は1機100億円超で、合計1兆円を超える。

しかしこの額は、貿易不均衡の「是正」を兵器購入でも要求するトランプ政権に迫られてさらに膨らむことが予測される。

つまり、トランプ政権も、今のうちに、安倍晋三政権であるうちに、買わせてしまおう、と考えているフシがあるからだ。

 

現在、自衛隊はF4戦闘機の後継機としてF35Aの三沢基地への配備を始めているが、42機の購入がすでに決まっているため、追加購入と合わせて140機態勢となる。

現在の主力戦闘機であるF15の一部と置き換える方針だという。

 

日本の18年度軍事関係費は5兆1911憶円(米軍再編費を含む)で、過去最高を更新した。

17年度当初予算比で1.3%増。

第2次安倍政権6年連続の増加だ。

 

19年度の防衛省概算要求は過去最高の5兆2986円、2.1%増と、過去5年間の軍事費0.8%増を大きく上回る伸びとなっている。

これには米軍再編費は含まず、軍事費の伸びをごまかしている。

 

そして、政府は昨日午前の国家安全保障会議と閣議で、新しい防衛計画の大綱(防衛大綱)と中期防衛力整備計画(中期防)を決定した。

陸海空の統合に加え、「宇宙・サイバー・電磁波」の新領域での開所能力を融合させた多次元統合防衛力」構築を掲げた。

 

社会保障費は4800億円

防衛費は年間の増額分だけで4000憶円。

23年度までの防衛費、27兆4700億円。

恐ろしい数字だ。

 

このまま放置すれば、日本がますます軍事大国化していくことは間違いない。