トランプ政権への信任投票ともいえる米中間選挙は11月6日に投票が行なれ、焦点とされた下院では野党・民主党が8年ぶりに過半数を奪い返した。

上院は与党・共和党は過半数を維持し、トランプ大統領は「大成功だ」と勝利宣言を出し、2年後の大統領選挙を見通し強気な構えだ。

だが、上下両院で多数派が異なる「ねじれ議会」となり、大統領弾劾への動きが本格化する可能性もある。

 

下院は全435議席中、民主党が230議席(11月16日現在)を獲得し、過半数を上回った。

立役者は史上最多の女性候補者だ。

ほとんどが民主党員で、女性蔑視や差別問題を抱えるトランプ大統領への反発を原動力に立ち上がり、議席は改選前の85から102へと急増し、史上最多となった。

 

中でも注目されているのは小数民族出身者だ。

ミネソタ州では元ソマリア難民のイルハン・オマール氏が、、ミシガン州ではパレスチナ系のラシダ・トレイプ氏が初のイスラム教徒の女性議員となった。

 

カンザス州では、シャリス・デイビッズ氏が先住民として初の議員(ニューメキシコ州のデブ・ハーランド氏も)に選ばれ、ニューヨーク州では「民主的社会主義者」を名乗るヒスパニック系のアレクサンドリア・オカシオ・コルテスが史上最年少の女性議員となった。

 

一方、上院は全100議席の3分の1に補選を加えた35議席が改選され、非改選議席と合わせて共和党は51で過半数を維持した。

同時に36州の知事選も実施され共和党は18州、民主党は16州を制した(12日現在)

 

民主党は国民皆健康保険の実現、銃規制などを政策を掲げ、有権者をつかんだ。

一方、トランプ氏は好調な景気や雇用増の成果を訴えながら、中南米からの移民阻止を強調した。

 

移民キャラバンと呼ばれ数千人に膨れ上がった移民たちを、トランプ氏は犯罪者集団と呼び、危機感を煽り、不法移民の排斥を求める保守層から多大な支持を得た。

 

今選挙で「ねじれ議会」となったため、トランプ氏が公約に掲げるメキシコ国境への壁建設や医療保険制度「オバマケア廃止」などは、下院で阻止され実現が困難になるだろう。

さらに同氏を巡る数々の疑惑追及が強まり、下院で「弾劾訴追」されることも予想される。

ただし、上院を共和党が抑えているので罷免はないが、民主党が議会調査権を駆使し、ロシア疑惑や大統領と不倫関係にあった

”ポルノ女優”への口止め料疑惑などで政権を追い込むことは可能だ。

 

かねてからトランプ氏はツイッターなどで、主義主張の合わない者を侮辱に満ちた言葉で攻撃してきた。

民主党を「犯罪者の政党」と呼び、米CNNなどメディアを「反対勢力」とこき下ろした。

 

支持率は第二次大戦後の歴代大統領の中で最低。政権就任後は一度も50%を超えたことがない。

だが、トランプ氏の政治姿勢に共鳴する支持者は多い。

それが証拠に、今選挙でも致命的な敗北を喫していない。

 

選挙終盤には強固なトランプ支持者が民主党幹部や同党支持者に小包爆弾を送りつける事件が起きた。

トランプ大統領は「民主主義への攻撃だ」と犯行を非難したが、国民の不満や怒りに訴え、恐怖心を煽り社会の分断助長してきたのは大統領自身だ。

 

政権発足以来、人種や宗教差別に基づいたヘイトクライムも増えている。

民主党から女性や少数派の人々が多く当選したことに希望を抱く一方、分断を煽るトランプ大統領のもと、暴力的な解決を求める風潮が強まる懸念もぬぐえない。