昭和レトロなんて言うとりますけれども。まあワタクシのようなもんでも何やらエモいだのなんだの言われてるというのは耳にしたことがあるのじゃよ。とはいえこれを最初に聞いたときは、けっ!ばかくせー!というのが第一感でしたね。
ところが最近ワタクシですね、早朝にやってる昔の刑事ドラマ・太陽にほえろの録画をなぜか始めてですね、まあ見とるわけですよ。これがもうね、昭和中の昭和という感じなんですね。厳密に言えば70~80年代の昭和ですかね。ストーリーはもちろんのこと、話し言葉や人との接し方あたりも昭和なんですけど、特に何気ない街並みとかがもうすごい昭和。道路のアスファルトの質感、分厚いガードレール、信号機、標識、走ってる車、お店の電飾看板、飲み屋の雰囲気、ビルの質感、階段の手すり、と数え上げたらキリがないくらい昭和なんです。また、そのあたりに空き地も結構あったりね。そこで子供たちが遊んでるわけです。民家の塀もなんかザラザラした触感のコンクリートで出来てる感じでね。家に入ったら入ったで家電などはもちろんのこと、襖だとかカーテンなんかも昭和。食卓や食器、タンスなんかももう昭和に次ぐ昭和なんですよ。
んで、ふと気付いたのは、なんかそれらを見ていると妙に心が安らぐなということ。なんかホッとする気持ちになっていた。そんな感情が自分の中に芽生えていることに驚いた。
そして、あれこれひょっとして俺は現代社会に疲れているんだろうかと思った。もしかして現代社会ってあまり幸せではないのでは、と。いやね、昔が良かったとかこれまで人生で一度も言ったことはない。なんかそれってダサいじゃないですか。まあ実際現代も過去もどちらも良い部分と悪い部分があるんでしょうけど、でも昭和の雰囲気を見て妙に安心感を覚えちゃっていた。
まあ自分が小学生くらいまではこんな昭和の雰囲気だった。そのあたりの空き地で遊び、ザラザラの塀にボールをぶつけ、疲れたら駄菓子屋に行って買い食い。友達の家に行けばお紅茶が専用食器で出てきて緊張感を覚えていたこととか。まさにドラマに出てくるようなシーンの中で人生を送っていた。
これって昔、特に幼少期のことだからよく思えるのか、実際昭和が良かったのかはよく分からない。今より不便なことは間違いないし、かなり粗暴でガサツで血の気の多い時代だったような気もする。しかしなぜホッとしたような気持ちになるんだろうか。
答えを探りに、また太陽にほえろを観る。