両親が死んでから、幾日が過ぎた

家の周辺では官吏の部下達らしい
質の良くないごろつき共がうろうろしていた為、
メヒは家に戻る事も出来ずにずっとトンウンの家に居た

といっても、当のメヒ本人はそんな状況等知る由もなかった

「少し休め、寝た方がいい」


メヒの下目蓋に刻まれた"くま"を伸ばすように撫でながら、トンウンはメヒに言い聞かせるが、
メヒは力無く首を振った

メヒはずっと眠れていなかった

目を閉じれば、目に焼き付いたままの両親の死に体が浮かび上がる
想像の中での官吏は、無抵抗のふたりを笑いながら凌辱の限りを尽くしていく
断末魔の叫び声
人間とは思えぬ声
官吏の厭な笑い声が頭に響く

メヒ…
メヒ………
メヒ!!

生命の灯火が消えるその時、
掠れた声で自分を呼ぶ両親の声が
聞こえたような気がして
メヒは泣きながら目を開けた

目を閉じる度に見る悪夢
目を開ける度に訪れる後悔と懺悔

ふたりの最期の姿さえも思い出せない
なのに、
官吏への憎しみだけがメヒの心をどんどん蝕んでいた

お父さん
お母さん
ごめんなさい



そしてある日

「メヒ?………メヒ?」

トンウンがメヒが寝ている筈の部屋を覗くがもぬけの殻だった

「出掛けたのか?それにしても…」

綺麗に片付けられた部屋でトンウンが考え込んでいると、
「トンウン」
ムン・チフが入って来た

「隊長!」

トンウンは頭を下げる

「メヒがおりません」

トンウンの言葉に、ムン・チフは頷いた

「………大丈夫だ、彼奴が付いている」

 

 

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