「何をしている?」
「………魚釣り
友だちと……遊べなくなったから」

少女はムン・チフを見る事もなくそう言った
その目はずっと水面を見つめている

魚釣りというが、釣り竿等持っておらず、
手にあるのは少女が持つには些か不似合いな"鞭"だ
だが、
そばには魚籠が置いてあり、ちらりと
中を見ると何匹かの魚が入っていた

もしや…
それで捕っているのか?、と少女の視線を辿る

日の光が水面に反射してきらきらと煌めいている
ムン・チフの目に、時折、魚が浮上し、潜っていくのが見えた

すると、
そばに立つ少女から気が発せられる
それは内功であった

なんと…

驚いて少女を見ると、少女が手にしていた鞭が宙を舞う
水面に浮かんでいた影に鞭が絡みつくと、それを一気に引き寄せた

びちゃっ、びちびちっ

大人の掌程の魚が勢いよく跳ね上がる

「ほぉ…」
この大きさの魚を、よくぞ捕えたものだ

泳いでいる、しかも何処へ動くか予測出来ないものをその目で捕らえ、
鞭という水面ではかなりの力を要せねば使いこなせぬものを易易と使いこなす

生まれ持つ動体視力と、いち早く獲物捕らえる目の良さ
だが、それだけではない
此処まで行き着くには相当な修練が必要だ
それを、こんな名も知れぬ村の幼い少女が出来る技ではない

「そなた…何処でその技を身につけた?」
「何処でって、此処で  叔父さんに教わったの」

少女は、地面でもがく魚を魚籠に放り投げると、砂で汚れた手を水で雪ぐ

「叔父…….
そなたの叔父の名前を聞いても良いか?」

その言葉に少女は漸くムンチフの方へ視線を向け、目を大きく見開いた

不躾な事を口にするこの村のものじゃない男
しかもあまりにも威圧感のある風貌に少女は怪訝な顔をして首を傾げる

だが、その男は頼む、と頭下げた為、渋々な顔をして頷いた

「………トンウン」

 

 

 

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