AIと大局観 | カクザンのブログ(岡山市の親子将棋教室)

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子どもたち、保護者の方に、将棋の楽しさ・魅力をお伝えします。次回教室は高島特別教室が6/30(日)、津山おもちゃ図書館特別イベントが7/7(日)の予定です。

米長先生や芹沢先生の語録からは、「大局観」とは「捨てる技術」であるとみることができるかと思います。すべての手を考えることができればよいが、将棋とは非常に複雑なものであり、限られた時間内で砂浜の砂粒のように膨大な数の手を読むことはそもそも人間には不可能。そこで、読む必要のない手を一目見ただけでどれだけ捨てることができるかが重要になってくるというわけです。残された手の数が少ないほど、その手を深く掘り下げて考えることができますからね。

 

ところが、この考えとは真逆のプレーヤーが現れたのを皆さんはご存じでしょうか?そうです、AIです。

 

AIは全ての手をしらみつぶしに読んで、最善手を選択するといわれています。すると、どういうことが起こるのでしょうか?トッププロ棋士ほど「大局観」は優れていると考えられますが、人間である以上、プロ棋士が最初に「捨てた」手の中から最善手が含まれている可能性はあります。確率はもの凄く低いかもしれませんが、ゼロではないわけです。ところが、AIは広大な砂浜の砂粒の中から、そうした1粒の最善手を発見してくることができるのです。こうした手は、プロの盲点になっていた手であり、長年、常識とされていた定跡が覆されるといった事態を招きます。江戸時代に指されていたような指し方(雁木など)が見直されるようになったり、エルモ囲いによってそれまで無理筋だった対振り飛車対策が有力になったり等々、色々なことがプロ棋界ではリアルに起こっています。

 

ここで疑問が湧いてきます。全ての手を読むAIに、果たして「大局観」はあるのでしょうか?これに対しては、ダニーこと糸谷哲郎八段のコメントを見つけました。

 

「将棋の場合、棋士が行なう判断を「大局観」という言葉で説明しています。たとえば「なんとなくこの形はきれいだ」とか、「直感的にこの形がいいと思う」とか。ところがコンピュータには、「なんとなく」や「直感」なんてありません。膨大なデータから、最善の判断を選び出してくる。その結果、人間が伝統的に蓄積してきた大局観そのものが揺らいでいます」。興味のある方は↓のリンクをぜひご覧ください。

 

 

全ての手をしらみつぶしに読んでいくという限りにおいて、AIには「大局観」はないということになりそうです。

 

以下、つづく・・・。

 

 

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