カクザン:いや~、「牡丹灯篭」面白かったですねえ。孝助の仇討ち、スカッとしました。全体を通じて実に多彩な人物が登場し、悪人も多数出てきました。特に伴蔵は悪いヤツだと思いました。
テガタ:しかし、考えてみれば伴蔵も金100両さえ手に入れなければああはなっとらなんだかもしれん。幽霊も出てはきたが、やはり一番怖いのは人間という気がするなあ。
カ:さて、今回は「真景累ヶ淵」(しんけいかさねがふち)を取り上げます。これはどういう怪談なんですか?
テ:元々、「累」(かさね)伝説というのがあって、似たような怖いことが繰り返しおこるというものなんじゃそうな。そういうものがこのはなしの下敷きにはなっておるように思われる。主人公の新吉と結ばれそうになる女性が次々に祟りにあうというそんなストーリーじゃな。
カ:「牡丹灯篭」ではお露さんの役回りが、「真景累ヶ淵」では多数登場するということですね。
テ:まあそういうことじゃ。そして、舞台は最初は江戸で始まるのじゃが、後半は羽生村というところに移っていく。そこで登場する惣吉がもう一人の主役となって、複雑なストーリーが展開されていくんじゃ。「牡丹灯篭」よりもさらに長い噺ではあるな。
カ:なんだかものすごく体力がいりそうで、自信がなくなってきました。
テ:そんな心配は無用。円朝作品はどれも読者を夢中にさせる面白さがあるからなあ。
カ:それを聞いて安心しました。さて、今回も登場人物をご紹介いただけますか?
テ:それなんじゃが、前回のようなリストにしようと思ったのじゃが、登場人物が多すぎてなあ。主要な登場人物だけで勘弁してくれ。
テガタさんが用意してくれたリストは次のとおりです。いったいどんなストーリーが展開されるのか、予想もつかないのですが、とても楽しみです。
三遊亭円朝作「真景累ヶ淵」
主要登場人物:
皆川宗悦(根津七軒町の鍼医で高利貸)
志賀(宗悦の長女)
お園(宗悦の次女)
深見新左衛門(小日向服部坂上の旗本)
深見新五郎(新左衛門の長男)
深見新吉(新左衛門の次男)
三右衛門(深見家の下男)
勘蔵(深見家の門番)
お熊(新左衛門の妾)
下総屋惣兵衛(谷中七面町の質屋の主)
お久(小間物屋・羽生屋三五郎の娘)
土手下の甚蔵(羽生村のバクチ打ち)
三蔵(羽生村の質屋の主)
お累(三蔵の妹)
惣右衛門(羽生村の名主)
お賤(惣右衛門の妾)
惣次郎(惣右衛門の息子)
惣吉(惣次郎の弟)
お隅(惣次郎の嫁)
安田一角(横曾根村の剣術家)
花車重吉(元・惣右衛門の使用人で関取)
山倉富五郎(元・座光寺源三郎の用人)