三遊亭圓丈師匠を偲んで(その4)「ランボー怒りの脱出」 | カクザンのブログ(岡山市の親子将棋教室)

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子どもたち、保護者の方に、将棋の楽しさ・魅力をお伝えします。次回教室は津山おもちゃ図書館将棋教室が6/15(土)、高島教室が6/16(日)の予定です。

カクザン:今回ご紹介いただく高座ですが、タイトルが凄いですね。「ランボー怒りの脱出」、いったいどんな噺なんでしょうか?

テガタ:新婚間もない頃、上京する機会が結構あってな。そのたびに嫁さんと寄席通いをしていた時期があったんじゃ。今回紹介するのは特に印象に残っている「爆笑落語会・トンデモ落語会」での一席。この落語会は元は「放送禁止落語会」という名称だったらしい。立川流の噺家さんを中心に毎回、新作のネタ下ろしを行うのがルールという、圓丈師匠が喜びそうな変わった落語会じゃ。ワシらが行った日は三遊亭新潟改め白鳥師匠の真打昇進披露興業を兼ねた回になっておって、ネタ下ろし作でなくてもよいという特別ルールだったようじゃ。ちなみに白鳥師匠は圓丈師匠のお弟子さんじゃな。

 

◎この日のプログラム

平成13年11月、浅草東洋館

トンデモ落語会:三遊亭新潟改め白鳥真打昇進披露落語会

落語 立川志加吾「おたく寿司」

落語 立川談生「さる」

落語 快楽亭ブラック「芝浜・川柳川柳編」

落語 三遊亭圓丈「ランボー怒りの脱出」

お仲入り

口上 白鳥、圓丈、ブラック、談之助、談生

落語 立川談之助「お血脈・イスラム教編」

落語 三遊亭新潟改め白鳥「ギロチンはじめて物語」

 

カ:演目を見ても私が知らない噺ばかりです。「芝浜」は有名ですが・・・。

テ:ちなみに、落語会では事前に演目を発表しているケースはまれで、演者は当日、高座の上で噺を選択することが多い。なので、今回のタイトルもワシが勝手につけたものも交じっとる。ブラック師匠の「芝浜」も、古典の名作の芝浜を下地にはしておるが、主人公の魚屋を圓丈師匠の兄弟子の落語家・川柳川柳師匠にアレンジしたハチャメチャな内容じゃった。おかみさんのセリフも「お前さん、たのむから寄席へ出ておくれよ」といった具合じゃ。心を入れ替えた川柳師匠は、どんなに浅い出番でも寄席へ出演するようになっていく・・・。次に上がった圓丈師匠が、開口一番、「今の噺には無理な点があります。まず、寄席に出たところで生活は楽になりません・・・」。

カ:ハハハッw

テ:圓丈師匠は、最初に必ず、「今日は○○を演ります」と演目を言ってから噺に入るんじゃ。そして、この日は「『ランボー怒りの脱出』を演ります」というから、ワシもビックリした。どんな噺なのか想像がつかんからのぉ。

カ:シルベスター・スタローン主演の映画のタイトルですよね。

テ:噺の筋はその映画が下地となっておるのじゃが、いや、全く同じといっていい。それを落語で演ったらどうなるかというのがこの噺のキモでの。この噺は圓丈師匠曰く、落語界初の「アクション落語」なんじゃそうな。要するに登場人物の動作を全て落語の動作で表現していくとこうなるという落語なのじゃな。

カ:なんだか凄い話になってきましたねw

テ:落語にはいくつかの決まり事があっての。例えば、使う道具は扇子と手ぬぐいだけというルールがある(カクザン注:圓丈師匠はマウスを使ったりもするそうです)。1枚の座布団の上で、観客の想像力をかき立てながら情景描写を行う、これが落語の表現方法なんじゃ。

カ:制約があるわけですね。

テ:圓丈師匠は、まず、最初にいくつかの基本動作の実演をしてみせておったのぉ。走る動作はこう、タバコを吸う動作はこう・・・。落語の走る動作は間抜けじゃな。座布団の上で体を上下に動かしつつ、両手を開いたり閉じたりして「エッホ、エッホ」とやるんじゃ。そして、噺に入っていくと・・・。

 

圓丈:「逃げるランボー」(走る動作:「エッホ、エッホ」)

圓丈:「追うベトナム兵」(同じく走る動作:「エッホ、エッホ」)

圓丈:「切り株の上に腰掛けてタバコを吸うランボー」(扇子を使ってタバコを吸う動作)

 

テ:全てこの調子で進んでいくんじゃ。

カ:ストーリーは緊迫したアクションシーンの連続のはずなのに、それを全て落語の動作でやろうとするから可笑しいんでしょうね。

テ:会場には圓丈師匠のファンの方も大勢いたはずじゃが、客席がひっくり返ったのぉ。こういう高座に出会ってしまうと圓丈師匠という人は本当に凄いと感じる。嫁さんも大喜びの一席だったわい。

 

○テガタさんの説明が長いので以下は要約です。

口上は当日のメインイベントであるはずが、オマケのような感じで行われたそうです。トリは新潟改め白鳥師匠。ギロチンを発明した人の伝記物で、緊張のかけらもない、思う存分やりたい放題の楽しい高座だったそうです。終演は予定時刻の21時を1時間以上超過していたという、トンデモなく楽しい落語会だったようです。

 

次回が最終回です・・・。

 

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