津山の実家ではCS放送が視聴できます。色々な番組が放映されていて面白いです。東京五輪ももちろん観たいのですが、ついついCS放送を観てしまいます。囲碁将棋チャンネルはもちろんのこと、古畑任三郎が第1シリーズから何時間も連続で放映されていました。先日亡くなられた俳優の田村正和さんが主演のこのドラマ、実はカクザンはこれまで全く観たことがなかったのですが、母親と2人で何時間も観てしまいました。刑事コロンボ好きで知られる三谷幸喜さんの脚本ということは知っていましたが、本当にコロンボそっくりですねw
ただし、違うところもあります。それは、劇中、古畑が視聴者に向かって、事件解決のヒントを語りかけるシーンがあるところです。これは劇作家のブレヒトが得意とした「異化効果」を狙った演劇的な手法です。毎回のお約束なのでしょう。カクザンはその場面が毎回楽しみでしたw
さて、第1シリーズの何話目かで、将棋のプロ棋士が犯人のエピソードが登場しました。将棋のドラマでは、将棋界を知らないで観る分には何でもないようなことが、なまじ少しでも知っているがためにとても気になってしまう問題があります。それには大きく2つあって、1つ目はプロ棋士を演じる俳優さんが駒をパシッと打ち下ろす時の手つきの問題です。どんな名優さんが演じていても苦戦されているようで、高島&操山教室の生徒さんの方が上手なのではないかと思うレベルのことが多いですw
そして2つ目が使用する盤駒の問題です。プロ棋士どうしの公式対局では、将棋盤は脚つきの5寸以上の厚みのあるものが使用され、素材は榧(かや)です。また、駒は盛り上げ駒で、こちらの素材は黄楊(つげ)が使用されます。ところが、テレビドラマでは、どこかの宿直室に置いてあったのではないかというような代物が用いられていることが多いのです。
今回の古畑任三郎ではどうだったか?事情はちょっと違っていました。今回の事件の舞台はタイトル戦の番勝負の対局という設定で、挑戦者であるベテラン八段の封じ手が絡んできます(封じ手のやり方は厳密には違っているような気もしましたが、今回は将棋盤と駒の部分のみに着目したいと思います)。
まず、将棋盤ですが、脚つきの、見たところ6寸はあろうかというテレビ映えするものでした。素材が榧だったかどうかまではカクザンには判別できませんでしたが、テレビドラマ的には十分雰囲気が出ていたと思います。
次に、駒なのですが、今回問題にしたいのがこちらです。実は、事件が絡んだことによって、対局初日と翌日とで、この番勝負では違う駒が使用されることになりました。カクザンはボンヤリ観ていたため、初日にどんな駒が使用されていたのかはチェックできていません。しかし、2日目に使用されていた駒は、公式戦ではありえないような彫駒でした。
しかし、普通のテレビドラマなら、まあ、よくある話なのですが、今回のエピソードはちょっと違っていて、その駒は挑戦者が持参した駒という設定になっていました。
ここからはネタバレになりますのでご注意ください。
初日に使用した駒を金庫に保管した人物(立会人)が殺害されてしまい、暗証番号がわからないために、別の駒を使用することになりました(一応、対戦相手であるタイトルホルダーもその駒を使用することに同意していました)。挑戦者は封じ手に細工をしたのですが、立会人に気づかれてしまったことが殺人の動機です。
この彫駒は挑戦者が自室での研究用に持参していた駒で、殺害はそこで行われていました。そして最後の最後、5三飛成の一手で挑戦者が勝利するという局面を迎えますが、挑戦者はなぜか持ち上げた飛車を5六に打ち下ろして逆転負けを喫してしまいます。飛車の裏側に証拠となる血痕があることに気づいたため、飛車を成ることができなかったのです。
テレビドラマ的には、非常にドラマチックなラストシーンで、名作の1本に上がる内容だったと思います。しかし、あの駒が彫駒だったのには、番組制作側の事情があったのではないかというのがカクザンの推理です。すなわち、高価な盛り上げ駒を汚してしまうことは、番組制作費的に不可能だったのではないかと・・・。
皆さんはどう思われますか?
「カクザンでした・・・」(←古畑のマネのつもり)