前回、「『香落』の初形」について取り上げたので、今回はその続編です。題して、「『香落』は下手有利なのか?」です。
「香落」の初形図が図1です。
(図1 「香落」の初形)
一般的に駒落ちはハンデ戦なので、駒を落としている上手(うわて)側が不利な状況からスタートします。ところが、「香落」は、①そのハンデ自体が非常に小さいこと、②駒落ちは上手側が初手を指すこと、③「香」がいないことによってむしろ都合が良いケースがあること、などから、上手側にもメリットがあり、その損得が微妙な手合割といえます。
上記③の上手側のメリットとデメリットについて説明しましょう。
まずは図2を見てください。
(図2 相矢倉戦)
「相居飛車」の戦いの場合、「香」がいない上手は、大きなハンデを負うことになります。「相矢倉」戦は「相居飛車」の代表的な戦型ですが、上手「玉」側の1筋の守りが弱いことは一目瞭然でしょう。これが上手側のデメリットです。
次に図3を見てください。
(図3 振り飛車戦)
上手が「振り飛車」にした場合、1筋に「香」がいないことはそれほど大きなハンデにはなっていません。それどころか、「香」がいないため、この「香」を取られる心配が最初からありません。振り飛車側の常とう手段として△1二香と上がる手がありますが、その手を指す必要がなく、その手を他の手に回すことができます。こう考えると、「香落」は上手側のメリットになっています。
上記の図2と図3を比較して考えた時に、「『香落』は下手有利なのか?」という疑問が生じるわけです。
ただし、次のように言うこともできます。それは、上手側をもったときに、「振り飛車」が得意な人にはメリットにもなり、「居飛車」しか指さない人には大きなハンデになる、ということです。奨励会員が「香落」の克服が大きな課題となるのは、「居飛車」党の人が上手側をもった場合です。
また、下手側をもった時には、いかに、「香落」の弱点をつくかが課題になります。「香落」はとても小さなハンデですが、弱点はあるのです。ただし、上手く弱点をつかないと、「香落」のメリットを発揮されることもあるので、やっかいなのです。
「振り飛車」が上手になりたい方は、「香落」の研究は良い勉強になると思います。ただし、11級以下の初級者、初心者の方には難しすぎるため、まだ研究はしなくて良いと思います。
以上から、中級の重要度「C」としたいと思います。
◎中級者向け(1級~10級)以上
○重要度A
・詰将棋(やさしい5手~9手詰め)
・攻めの「拠点」
・「香落」の初形
○重要度B
・
○重要度C
・「香落」は下手有利なのか?(New)
◎初級者向け(11級~20級)
○重要度A
・玉は包むように寄せよ
・王手は追う手
・遊び駒の活用
・詰将棋(やさしい3手詰め)
・棒銀(▲2三銀不成~▲2四歩)
・棒銀(▲1五歩、△同歩、▲同銀)
・3歩持ったら「ツギ歩」と「タレ歩」
・金はトドメに残せ
○重要度B
・
○重要度C
・「飛香落」の初形
◎初心者向け(21級以下)
○重要度A
・王手と詰み
・持ち駒
・駒得
・成り
・詰将棋(やさしい1手詰め)
・数の攻め(=足し算攻撃)
・棒銀(基本の攻め筋)
・タレ歩
・頭金
・駒の並べ方
○重要度B
・
○重要度C
・駒台
・大橋流と伊藤流
◎保留
・「王」と「玉」