ドラマ「煙が目にしみる」最終回を見て(その2) | カクザンのブログ(岡山市の親子将棋教室)

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子どもたち、保護者の方に、将棋の楽しさ・魅力をお伝えします。次回教室は高島教室が8/4(日)、津山おもちゃ図書館将棋教室が8/4(日)の予定です。また岡山県こども将棋教室臨時交流戦は8/12(月・振休)に開催予定です。

「煙が目にしみる」は奨励会員にスポットをあてた、当時としては異色のドラマだったと思います。一般視聴者にとって、まず、プロ将棋界の仕組みが分かりにくく、そして、奨励会という存在はあまり知られていないという状況の下、その厳しさを分かりやすくドラマ化したところに、制作スタッフの苦労があったのではないかと思います。

 

根本三段に次第に魅かれていくヒロインの千草ですが、将棋のことも将棋界のことも、全く分からない人物として描かれています。なので、将棋に全く関心のない一般視聴者であっても、千草の目線でこのドラマを楽しむことが出来たのではないでしょうか。

 

全20話を見て、やはり、このドラマはコメディーとして作られていたと思います。しかし、実にシリアスな身につまされるドラマ展開でした。心の底から笑えたのは、最終回のラストシーン(SLの煙に咽ぶシーン)だけだったかもしれません。

 

最後はハッピーエンドで終わりました。本当に良かったと思います。逆の展開だったら全く救われないドラマです。しかし、カクザンはここで1つ疑念を感じました。それは故・米長邦雄九段のコメントについてです。

 

約40年前の、NHKでの放送終了後、朝のニュース番組枠の中で、主役を演じた川谷拓三さんが司会、ゲストが米長九段ともう1人の方(誰だったか不明:棋士ではなかったと記憶)で、10分程度の座談会が組まれました。当時の朝のニュースの時間には時々そのような企画がありましたが、銀河ドラマが終わる度にあったわけではありません。それだけこのドラマが話題になっていたのでしょう。

 

川谷さんがこのドラマの感想をお2人に求めたのに対し、米長九段のコメントはかなり辛口でした。「現実はもっと厳しい」というような内容だったのを覚えています。確かにそれがフィクションと現実との違いでしょうし、主人公のモデルとなった鈴木英春さんは最後はかなり惜しい星までいったのですが四段昇段を果たすことはできませんでした。

 

しかしです。ハッピーエンドについての感想はそうだったとしても、他に良かったところは無かったのでしょうか?こう考えた時にカクザンが抱いた疑念が、「米長九段は果たして、このドラマを毎晩ご覧になっていたのだろうか?」ということです。当時はまだ録画機器もそれほど普及していなかったように思いますし、このドラマは月曜から金曜までの毎晩9:40頃から放映されていました。当時の米長九段は棋界のスター棋士でしたので、対局数も多く、深夜に及ぶ対局も多かったはずです。

 

最終回を迎えるまでの、主人公や周囲の人々が苦悩する姿が、このドラマでは非常によく描かれていたとカクザンは感じます。主人公と一緒に視聴者は苦しみ、その末にやっと訪れたハッピーエンドだったわけです。しかし、もし、このドラマを最終回だけ見た人が感想を求められたとしたら・・・。あの時の米長九段のような、「実にそっけない」という言葉がピッタリの感想になる可能性は十分ありうると感じられたのです。なにしろ、最後は9連勝で昇段なのですから、現実的にはなかなかあり得ない展開です。

 

当時のカクザン少年は、米長先生の大ファンでもあったので、米長先生には一言、「いいドラマでした」と言って欲しかったのだと思います。そんな昔の記憶が蘇ってきた最終回でもありました。

 

 

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