爆笑・「ついたて将棋」熱戦譜(第10局) | カクザンのブログ(岡山市の親子将棋教室)

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子どもたち、保護者の方に、将棋の楽しさ・魅力をお伝えします。次回教室は津山おもちゃ図書館教室が10/6(日)、高島教室が10/6(日)の予定です。また表町商店街将棋イベントを10/19(土)に開催予定です。

11/13(日)の岡南公民館文化祭で行った「ついたて将棋」の熱戦譜の紹介をしています。「ついたて将棋」とはお互いに相手の駒が見えない将棋で、ルールは普通の将棋と同じです。対局者以外に審判が1人いて、王手や反則を知らせます。なお、反則は10回までOKで反則11回で負けというルールで行いました。


今回ご紹介するのは、10時前に行った練習対局(オープン戦)、先手・Nさん対後手・K君の一戦です。


○初手からの指し手:▲76歩、△34歩、▲26歩、△84歩、▲77角、△85歩、▲25歩、△88角成(反則1)、△72銀、▲18飛、△83銀、▲86歩、△84銀、▲24歩、△94歩、▲23歩成(図1)


(図1 ▲23歩成まで)
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この日行った「ついたて将棋」は全部で11局。次回紹介する私のものを除き全て相居飛車の戦形となったのは、このオープン戦をみていたお友達が、マネをしていったことが原因かもしれない。


先手の▲18飛は一見するとヘンな手に見えるかもしれないが、後手からの▽27歩をあらかじめ避けた「ついたて将棋」での1つの形です。▲23歩成で、まずは先手が先攻。




○図1以下の指し手:△44角、▲22と、△32銀、▲11と、△同角、▲16歩、△95銀、▲15歩、▽86歩、▲55角、△87歩成、▲75歩、△86銀、▲74歩、△77銀成、▲78銀、△同と、▲同金、△同成銀、▲73歩成、△89飛成(王手)(図2)



(図2 △89飛成)
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△44角はこの一手。次の▲22とでは▲22歩と打つ方が良かったです。本譜は後手が△32銀としたため事なきをえましたが、△22銀とされていたらせっかくの「と金」をとられてしまうところでした。「▲22歩」は「22」の地点に相手の駒がいたら反則になる可能性のある手です。しかし、反則になることで「22」の地点に相手の駒(このケースでは「角」である可能性が高い)がいることが分かり、そこで▲22とと指すわけです。


▲11とでは▲31とと玉の方へ向かうべきでした。「香」を取ってしまうと、「と金」の存在が相手に分かってしまうため△11同角と取られてしまいました。困った先手は▲16歩から端攻めを狙います。


後手は着実に棒銀を前進させ、ついに8筋を突破しました。△89飛成とここに飛が成れたのは大きな手。竜は一段目にいれば「歩」で取られることがないので安全なのです。



○図2以下の指し手:▲48玉、△77角成(反則2)、△73桂、▲17桂、 △65桂、▲25桂、△57桂成(王手)、▲同玉、△87竜、▲33桂不成、△66銀(王手)、▲56玉、△55金(反則3)、△55銀(王手)、▲同玉、△86竜、▲14歩、△85竜(王手)、▲56玉、△44金、▲57玉、 △87竜、▲13歩成、△68成銀(図3)



(図3 △68成銀まで)
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△73桂~△65桂は好判断。桂は足が速く、あっという間に敵陣への攻撃に参加します。「桂馬の高とび歩のえじき」という格言は「ついたて将棋」では通用しません。図3では後手が優勢です。あとは敵玉を逃がさないように包囲していけば後手の勝ちとなりそうです。



○図3以下の指し手:▲48桂、△58成銀(王手)、▲同玉、△45金、▲59玉、△46金、▲12と、△47金、▲56桂、△48金(王手)、▲58金(反則1)、▲48同玉(反則2)、▲69玉、△58金(王手)、▲68玉(反則3)、▲78玉(反則4)、▲59玉、▲58同金、△89竜(王手)(図4)



(図4 △89竜まで)

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▲48桂は悪手。玉の右方向への逃げ道をみずから防いでしまいました。対する後手は△45金~△46金と敵玉を追いつめていきます。先手玉は下へ下へ逃げていきましたが、危険でも上へ逃げるようにしなければ勝てません。「玉は下段へ落とせ」という格言は「ついたて将棋」でも通用し、下段の玉はつかまりやすいのです。



○図4以下の指し手:、▲68玉、△99竜、▲57玉、△66角(反則4)、△79竜、▲13飛成、△69竜、▲21と、△同銀、▲同桂成、△44角、▲31成桂、△54香、▲12竜、△65桂(王手)、▲46玉、△57香成(反則5)、△56香、▲41成桂(王手)、△同玉、▲42金(最終図)まで91手で先手の勝ち



(最終図 ▲42金まで)
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図4の局面で先手の手が動かなくなってしまいました。頭の中が混乱して、どうすればよいのか分からなくなってしまったのです。そこで、私は、負けてもいいから、玉を「25」の地点の方まで上へ上へと逃げるように指していくようにアドバイスしました(オープン戦なので、K君、許してあげてネ)。


するとどうでしょう。先手玉はスルリ、スルリと上部脱出に成功しました。それだけではありません。後手のK君の指し手があきらかに相手玉を見失ってしまった感じです。「ついたて将棋」では相手玉の位置をはやく見つけることが大事で、玉の位置が相手に分かってしまうと、攻撃から逃れることは容易ではありません(この理由から「穴熊」は得策ではないのです)。一方、いったん玉の居所を分からなくしてしまうと、今度はなかなか見つからなくなってしまうのです。なので、自玉があぶないと感じたら、とにかく玉を動かして雲隠れしてしまうのが「ついたて将棋」のテクニックになります。


最後は▲42金まで「頭金」の詰み。先手の大逆転となりました。


次回はいよいよ「ついたて将棋」シリーズの最終回。私の一戦をご紹介します。どうぞご笑覧ください。



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