「カニ囲い棒銀」戦法の「次の一手」シリーズを続けています。まずは前回の回答から・・・。
問題図は後手が「81」の「飛」を▽21飛と移動させたところ。一見するとヘンな形ですが、2筋を受けた手です。こうやって必死に受けられると、2筋は「棒銀」だけで突破することはむずかしそうです。
そこで、別の筋への攻撃を考えます。この時、大切なことは、「26」の「銀」を使った攻撃を考えることです。間違っても、「26」の銀を「遊び駒」にしてはなりません。この「銀」が遊ぶようでは、この将棋、先手は勝てません。
考えられる手は、「▲16歩」と「▲36歩」です。「▲16歩」に後手が「▽14歩」としてくれれば、以下、▲15歩、▽同歩、▲同銀、▽同香、▲同香となって先手成功となりますが、「▲16歩」に対して後手は手抜きで「▽12香」と上がり、1筋攻めには「▽11飛」で受かっています。この展開は「26」の「銀」がこれ以上前進できないのがつらいところです。なので、「▲16歩」は不正解です。ということで正解は次の手です。
◎正解手:▲36歩(図1)
「▲36歩」の意味は分かったでしょうか?この「歩」突きは、普通は「29」の「桂」をハネる準備の一手です。しかし、この局面では次の「▲35歩」が狙いです。すなわち、相手の「桂」頭を狙っているのです。後手はこの狙いが分かっていても受けがありません。
○問題図からの指し手:▲36歩(図1)
ここで、参考図を見て下さい。前回、▽94歩に対しては▲96歩と「端歩は受けよ」と説明しました。もし、▲96歩を省(はぶ)いて別の手(例えば▲96歩)を指していたら、後手は▽95歩(参考図)と指してきます。この一手で、後手の「右玉」は広々として、とてもつかまえにくい形となっています。一方、問題図のように9筋の端歩を突き合っている場合、後手の「右玉」はとても狭く、先手はそれほど恐れる必要はありません。
さて、図1に戻ります。「▲36歩」に対し、後手は攻め合いを目指し、遊んでいた「角」を、▽31角~▽75角と使ってきました。途中の▽65歩~▽75歩が「歩」の上手い突き捨てで、「▽75角」となった局面を次回問題図とします。先手は早く「▲35銀」と行きたいのですが、大丈夫でしょうか?
○図1からの指し手:▽31角、▲35歩、▽同歩、▲38飛、▽65歩、▲同歩、▽75歩、▲同歩、▽同角(次回問題図)