彼岸の明けも過ぎて、これから、春本番に向かうか、それとも花冷えの日が

来るのか、という読みにくいお天気です。

昨夜は寒かった。

 

先日、山中先生が、iPS細胞の研究や、治験としての治療例の進展、認可さ

れて行われる治験の計画、現在計画されているもの、創薬のための研究に

ついて等を、話されている番組を見ました。

 

「オールジャパン」で取り組みましょうと、ノーベル賞受賞直後から語られ続

けていたことが、私たちの眼にも、見える形で出てきた印象です。

理研の治験から始まり、いろいろな大学の病院が、かぶらない形で治験を

進めておられるようです。

 

経済的な問題、素材の量の問題を解決に導きそうな「iPS細胞」準備も、

最近の京都大学の研究の成果が、種々の要件をクリアして、実際に使われ

るようになっていけば、日本人の90%をカバー出来るということです。

幅広い分野の人材の協力、協同が出来ると、研究は深化し、速度が増すも

のなんだなあと思いました。

 

この「90%」は、「iPS細胞」につながった、山中先生の別の発見も使ったもの

の様で、一人の医師である研究者「山中先生」が続けた努力が、他の研究者

の努力に繋がっていくものなのだと感じました。

この方法は、日本人だけではなく、他の国の人、異なる遺伝子を持つ集団を

対象にも使える方法の様ですから、検証を経て、確立されていけば、多くの人

が、やがて「iPS細胞」の恩恵にあずかれる時代が来るのでしょう。

 

 

幅広い分野の人々が横断的に協力する。

 

ある意味、似ていると感じられた話があります。

もう一人のノーベル賞受賞者、島津製作所の研究所所長の田中紘一氏が、

新たな研究成果を発表するに至るまでの話です。ドキュメンタリー番組の中で

も、取り上げられていました。

 

「・・・・ある時は失敗と思われる事も、別の分野ではすごい発見になるかもしれ

ない。もう少し柔軟に広く解釈すれば、イノベーションはもっとたやすくできる。」

といった意の話が番組の中で出てきました。本庶先生も登場されていました。

 

田中氏は、色々な場所に自ら足を運び、若い研究者と出会い、違う分野の研

究者と話されたとのことでした。(現在も)

チームの金子さんという研究員が見つけ出した物質の、横(グラフ上)に現れた

ものが何かという事に注目され、

「一滴の血から、発症の20年前からアルツハイマー病を発見できる可能性」

(訂正 20年前から→30年前から)

という、「チーム田中」の研究成果に結びつけられたようです。

 

島津製作所の社員、若い研究者、技術職の人たち、国立長寿医療センターの

柳澤医師、より多くの幅広い分野の人々の協力があって成し遂げられた発見

であると、田中氏は考えておられるのだと思いました。

 

イノベーションは「技術革新」と訳されていますが、元をたどっていくと、意味は

幅が広そうです。

「the  use  of  a new idea  or  method (ケンブリッジ英英辞典の定義)」。

新しい考え方やら手法やらの使い方(とんでもない私の直訳)??

 

 

たんぱく質を分析する装置を、若い研究者に無料で開放している田中氏は、

若い研究者に機会を与えるべきだし、その中から、次の「イノベーション」が生ま

れると考えておられます。

若い研究者の応援体制が広がるといいなと思います。

田中氏と、島津製作所の度量の広さに感嘆しました。(田中氏を応援し続けた

上司、同僚、後輩の方々の存在があるのでしょうね。)

 

 

山中先生が出ていた番組では、アナウンサーが「ゲノム・・・」について、ちらっと

言葉を滑らしたのかと思える1シーンがありました。

医学・医療界隈の「イノベーション」と言えば「ゲノム医療」となってきますが、

そちらの方の動きについて調べてみました。

 

〇「メディア ウオッチ   データが拓く新時代医療」

                     (グローバルヘルスコンサルティング )

というサイトに、

〇「2019年度から、がんゲノム医療や 科学的根拠に基づく免疫療法の研究

  も重点的に進めよ―がん研究あり方有識者会議」

という記事が出ています。

 

※「iPS細胞の活用」も、出てきます。

 ノーベル賞受賞後、「創薬」についての貢献が出来ることを、期待の一つとし

 て山中先生は語っておいででした。

 (治験前に膨大な実験が必要な訳ですから、そんなことも考えておられたの

  でしょうか。実際は、眼の病気への治験が、最初の成果を上げてこられて

  います。)

 

※「リキッドバイオプシー」についても出てきます。

 血の一滴から診断の研究が、「早期発見」に繋がれば、「がん」だけではなく、

 田中耕一氏のチームの研究が、「アルツハイマー病の早期発見の可能性」に

 繋がったように、「がん」以外の病気の「早期発見」「治療開発」に繋がっていく

 かもしれません。

 

※島津製作所の分析機は、「がんの研究」「家族性アミロイドニューロパチーの

 診断」等に、寄与され続けているそうです。

 幅広い分野の研究者、技術者の横断的な協力が「イノベーション」の原動力の

 一つになるのかもしれません。

 

 

ゲノム医療関連の記事が、簡単に、2019年情報として読めるのは、

〇朝日デジタル

 「開いてみよう!ゲノム医療の世界」のシリーズ

〇日本経済新聞

 「ゲノム医療」

〇ヨミドクター

 「がんゲノム医療」拠点拡充へ・・・

等ですが、

マスコミのニュース記事を読むにあたっては、遡って、出典やら、発言者が誰で

どこの所属か等、幅広く見ていくように努力しています。

 

気を付けないと、5本読んだけれど、全て、1人の人の意見、1施設の意見であっ

たという事もあるからです。

 

自然科学系の研究法を学んでいませんが、人文科学系でも、研究を進めるため

には、「異なる人の著作・資料に可能な限り当たれ」というのが鉄則だと教えられ

ました。

 

 

「ゲノム医療」は、これからの医療という面は大きいと思いますが、幅広い分野・

人材で、加速度的に研究が進めば、恩恵を受けることが出来る「若い人」が多く

なるのではと考えます。

 

山中先生や、田中所長の様に、「幅広い分野での協力」、「若い人への研究機会を

増やすことが発展につながる」、「安全性」、「経済性」等を考え、そして何より、病気

に悩む患者や家族に、診断の方法、治療法、治療素材、薬を届けようとする研究者

の「気持ち」が、勇気の在り方を見せてくれていると思うのです。

 

 

去年の花