〇日本緩和医療学会 がんの補完代替療法 クリニカル・エビデンス より

 

Ⅰ章 序論

 2「クリニカルエビデンス」作成過程  を読んでみました。

 

〇1.背景  より

 1)診療ガイドラインとは?

 

 米国医学研究所によると、

 「診療ガイドラインとは、患者ケアの最適化を目的とする推奨を含む文書である。

  診療ガイドラインはエビデンスの系統的レビューと、複数の治療選択の益と害の

  評価によって作成される」

 と定義されている。

 ・・・・・グレード・システムでは、推奨の方向が2種類(推奨する 推奨しない)、強さ

 が2種類の4段階の推奨度が設定・・・・・。

 

 2)科学的根拠に基づく医療とは?

 

 科学的根拠に基づく医療(EBM)とは、

 「研究によって得られた科学的根拠=エビデンス(リサーチ・エビデンス)、

  患者の好み(価値観)・行動、

  医療者の技術・経験を含む専門性、

  患者の病状・周囲の環境の4つ

 を考慮し、よりよい患者ケアのための意思決定を行うものである。」

 とされている。

 

 誤解されがちであるが、

 「EBMを実践すること」は、科学的根拠に患者を当てはめる(押しつける)こと」

 ではない。

 

 エビデンスそのものについても誤解が多く、EBMを実践するにあたって、

 「無作為化比較試験の報告がなければエビデンスがない」ということも、

 「エビデンスがなければEBMを実践できない」ということもない。

 

 「治療方針の意思決定は、エビデンスではなく、患者と医療者によってなされる

  べきである」

 と、患者-医療者間のコミュニケーションの重要性が強調されている。

                                   (Haynes等の論文)

 

 3)補完代替療法分野の現状と課題

 

※補完代替療法の分野は、施術・療法によっては、無作為化比較試験の報告が

 少ないとのことです。また、保険診療の対象外となっていることがほとんどなので

 経済上の問題もあります。利用の判断は、患者・家族の好みや価値観の影響が

 大きく、補完代替療法の分野においては、画一的に「推奨度」を設定しなければ

 ならない診療ガイドラインを作成することは困難とありました。

 

注)「補完代替療法」と、「補完代替医療」では、言語的な意味が違う扱いとなっている。

 

 

〇クリニカル・エビデンスの対象者、利用者は、がん医療に携わる医療者: 医師、

 看護師、薬剤師(患者・家族向けは今後作成予定とのことです)

 

〇Ⅲ章 各論:クリニカル・エビデンス(※で取り上げられているのは、)

   1.健康食品

   2.マッサージ

   3.アロマテラピー・マッサージ

   4.運動療法

   5.ホメオパシー

   6.アニマルセラピー

   7.リラクセーション

   8.音楽療法

   9.鍼灸療法

   10.ヨガ

 です。

※大抵は、システマティックレビューはまだないとなりますが、少数ですが報告例

 のあるものもあります。

 

 個人的には、「温泉」の効用もありそうな気がしますが。リラクセーション法の一種

 ともいえるか?な?

 植物を育てたり、絵を描いたり、裁縫、編み物、料理、造形と、創作活動も、リラク

 セーション法にまとめられますかね?