深夜に雨か小雪が降ったようです。

曇り空です。

今日は、これから雪になるのでしょうか。

 

○特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 ガイドライン

「患者さんと 家族のための がんの痛み治療ガイド 増補版」 より

※Q&A形式で、丁寧な文章で、解説されています。

 自分の記憶のために、キィワードを中心に箇条書きや要約といったものに

 しています。

 

○第3章 がんの痛みに対する治療のしくみ より

3.とん服薬の使い方

Q21 痛みが持続するようになってきた。

    医師から痛みどめを定期的に使うように勧められ、薬を処方してもらう。

    きちんと薬を使っているのに、痛みが残っている。

    痛いときに使うように、とん服薬も処方された。

    どのように使っていけばよいのだろうか?

 

    ・痛みの原因や強さは人それぞれ

    ・薬の種類や量は、使いながら調節をして決めていく

    ・通常、定期的に使う薬と、痛い時のとん服薬を組み合わせる

    ・処方された薬で痛みが治まらなくても、諦めずに痛み具合を医師、看

     護師、薬剤師に伝える

解説

   定期的に使う痛みどめの量が足りないときは

    ・必要な痛みどめ(医療用麻薬)の量は、患者ごとに異なる

    ・個別に調整する必要

    ・通常は、少ない量から開始

    ・痛みが治まる量まで増やしていく

    ・量が増えるからと、心配する必要はない

 

※心配は増量ではなく、不随する症状(気持ち悪くなるとか、気持ち悪い夢を

 見るとか)、少数例なのでしょうが、それが起こった時、どう対応すればよい

  のか、対処してくれるのかということです。

 

   痛いときのとん服薬を使ってみましょう

    ・(本書では、わかりやすくするために、とん服薬には座薬や注射薬を

      含む) 

     ※一般的には、「服薬」ですから飲み薬として渡されると思います。

    ・通常、速く効くタイプの薬を使う

    ・定期的に使う薬の量を参考にして、決められる

    ・医師の指示を守って使う

    ・痛みが治まらず、眠気が強くなる時など、医師、看護師、薬剤師に相談

    ・とん服薬は、「レスキュー薬」とも呼ばれる

 

   1)とん服薬の上手な使い方

    ①急に強くなった痛みに使う

    ②定期的に使う痛みどめの量の不足を補う(※3例紹介)

    ③予防的に使う(痛みが強くなると予測できる場合)

   

   2)医療用麻薬を使い始めた時期の痛みと、とん服薬について

    ・医療用麻薬を定期的に使い始めた時期は、薬の量が十分ではなく、

     痛みが残ってしまうことがある

    ・とん服薬を使用

    ・使用した時の効き具合の情報を、医師、看護師、薬剤師に伝える

    ・情報が、量の調整に役立つ

 

※双方向性があるコミュニケーションが成り立っているか否かが、試される時

 かもしれません。最悪の回答は、「本当ですか?」「そういう話は、聞いたこと

 がないんですが・・。」「気のせいではありませんか?」

 ですかねえ。

 

 「痛い。」「気持ちが悪い。」「変な感じがする。」という、痛みどめの作用状況

 への表明は、丁度よい(80%ぐらいは治まるということですから)痛み調整

 につながると思います。

 抗がん剤の副作用の世間への表明や、治療状況の表明をすることが、非難

 の対象にあげられたら、がん患者に限らず、ほかの病気に苦しむ人も、どう

 したらよいのでしょうか。

 

 「言ってもらうことで、詳しく、状況が把握でき、対処法や治療法を考えること

  ができる。」と述べている医師もおられるわけですから、患者も、自己観察

  をして、治療相談に臨むといいのだろうと考えます。

 

   3)普段の痛みが落ち着いていても、ときどき痛みが出ることがあります

    ・多くの患者が、急に強くなる一過性の痛み(突出通)を経験している

    ・我慢せずにとん服薬を使用しよう

 

※コラムにとん服薬を上手に使って、活動範囲を広げた女性患者さんの例が

 紹介されています。

 

4.がんの痛み治療の目標

Q22 どのような目標に向かって進められるのか?

    具体的なイメージは?

    

    ・目標は、QOLを向上させること 

      痛みなく眠れる

      安静時に痛くない

      動いても痛くない

解説

   がんの痛み治療には3つの段階的目標があります

    ①痛みに妨げられない睡眠時間の確保

     ・寝不足が続くと身体のリズムが崩れる

     ・疲労も蓄積する

     ・治療のうえでも、日常生活を送るうえでも、眠ることは大切

 

    ②安静にしていれば痛みが消えている状態の確保

     ・痛みどめを適切に用いることで、目標達成は可能

 

    ③起立したり、身体を動かしたりしても痛みが消えている状態の確保

     ・この状態を達成することが理想

     ・痛みを全く感じない状況にすることが難しい場合もある

     ・放射線治療や神経ブロック療法などの専門的な治療行うことがある

     ・すべての患者さんには、より自由で快適な生活を送るために痛み

      治療を受ける権利がある。

 

※眠るに勝る 果報はなかりけり

 

5.がん治療とがんの痛みの関係

Q23 再発で抗がん剤治療中。

    再発した部位が痛くて、夜も眠れない。

    日中もずっと横になっている。

    処方された痛みどめを使うと、抗がん剤の効果がなくなるのではない

   かと思い使っていない。

    進行した時分からないので、痛みどめは使いたくない。

    使い始めるとやめられなくなるのではないかと心配。

    痛みどめは使った方がよいのだろうか?

 

    ・抗がん剤の効果が弱まることはない

    ・痛みがないほうが、治療の幅が広がることもある

    ・痛みが取れると生活の質が向上

    ・意欲も出てくる

    ・痛みをとり、体調を整え、がん治療に臨みましょう

 

※「医師・医療者には説明の時間が無い」ということに集約されていくので

 しょうが、説明の不足もあるのではなかろうかという気がします。

 「時間が無い」現実に、患者側も対応していくしかありません。

   インターネットの便利さを、上手く、用心を持って使う。

   上手い話には裏がある。

   「ただ」ほど、高いものはない。

   誰の話(有名、評判の医師・医学者・医療者)であっても、鵜呑みにす

  るのは危険。(一般例が、自分に必ずしも当て嵌まらない。バイアスの

  問題も有り得る。)

   調べるのは、複数で比較しながら。

   検討して、絞って、病院で、質問確認。

 等に、気を付けています。

 

解説

   痛みの治療によってがんの効果が弱まることはありません

    ・痛みをとることによって、むしろがん治療の可能性が広がる

    

   がん治療をしっかり行うためにも、痛みをとっておくことが大切です

    ・痛みをとって、身体のコンデイションと気力を整え、治療に臨むこと

    が大切

 

   痛みがなくなることで、生活の質が向上し、自分らしい生活が可能に

   なります

 

   痛みがなくなれば痛みどめを減量したり、中止したりできます

 

※「痛い生活」は、どんな場合も、ごめんこうむりたいものです。

  80%は何とかなるそうですから、医療の限界、薬の限界、人の限界や

  不安定要素も考慮に入れ、「期待し過ぎず、期待する。」ですね。

  毎度ですが、これに尽きる気がしています。

 

雪が降ってきたようです。積もるほどではなく降っては消えています。