5月26日の抜歯。
6月15日の土台部分の型取り。
6月22日の歯部分の型取り。
そして6月29日。
いよいよ新しい義歯が完成する。
が、だ、、、。
指定された時間に行くと、、、、
「今日先生お休みです。」
なに〜〜
女医さんの旦那の父上が亡くなったらしく、
いろいろと忙しいとのこと。
で、いつ来るのか聞くと、
7月7日だと。
いやいや1週間以上かい。
歯も1本無いままでそりゃないよ。
こういう場合、タイでは怒ったり強く言ってはいけない。
いやあ参ったなぁ困ったなぁ、、、と
困り果てた様子を見せる。
すると受付嬢、
ちょっと待って、今電話してみる、と。
そして、、、
すぐ来るそうです、と。
本当に10分もせずに来たわ。
女医さん上下とも黒い服だったから、
葬儀に向かう前だったのかな。
お悔やみとお礼を言うと、
マイペンライ、マイペンライ、と。
直ぐに診察室へ。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240711/18/kakureya2549/c9/fa/j/o0813108015461934281.jpg?caw=800)
咬み合わせなどの調整作業する間、
女医さん、助手さん達とずっと葬儀やその関連の事を喋り続けてる。
自分のタイ語力では、殆ど解らないけど、
口調や様子からみて、
葬儀の準備や諸々が超面倒臭いらしい。
その騒ぎから抜けられて、
助手さんたちにも愚痴れて、
寧ろ良かったわくらいの感じだった。
作業の手を頻繁に止めてまで、
延々としゃべってた。
もうちょっとこっちの作業に集中してくれよと思うくらいだったな。
さて肝心の完成した新しい義歯。
まず大きさが2倍位になっている。
これは予想していた事だ。
18年前のバンコクで作った際は、
上下とも可能な限り小さくしてくれとお願いした。
見た目というよりも、当時は飲食店をオープンしたばかり。
味の感覚が鈍るのを恐れた為だ。
味と言うのは舌だけで感じているわけではない。
口内の歯茎や皮膚全てからの感覚が味となる。
食物の硬さや歯ごたえ、温度、水分量。
それらが口内で広がる速度。
全てが味を構成している。
なので義歯の面積が大きいと感覚が変わってしまう。
しかし小さく作ると弱点も有る。
安定性と強度はどうしても下がってしまう。
部分入れ歯の場合は支えとなる歯への負担が大きくなってしまう。
そして長年使っていると今回のように支えていた歯の歯根が壊れる。
更に、義歯が乗っていた歯茎部分が狭いので、沈み込みが激しい。
歯根が無いと歯茎の上に異物が有るのと変わりないので、歯茎が下がり骨まで減っていってしまう。
それがまた、義歯のガタツキの原因となる。
今回は仕事もしていないので、
女医さんに何も言わずに作ってもらった。
なので歯茎への接触部分が大きくなる事は予想していた。
装着すると流石に存在感が大きい。
だが密着感は完璧である。
型取りの薬剤が良かったのか、
女医さんが優秀なのかは分からないが、
隙間なくピッタリと密着している。
高さも型取りの際、
わざと少し軽めに噛んだので、
希望通りに出来ている。
後は使ってみてどうなるかだ。
実際食べて噛んでみないと分からないものだ。
会計は、、、
新義歯に3000B。
上顎の義歯のヒビ割れの修理に500B。
計3500B也。
最初のX線と抜歯で800B。
土台部分の型取り3100B。
歯部分の型取り3100B。
トータル13500Bとなった。
ますます円安で円換算したくないが、、、
約59400円となった。
予想の倍になったが仕方ないな。
ミドルクラスのスマホの値段くらいか。
日本の保険適応の場合10000円以下で出来るようだが、
金属床を使い素材に良いものを使う保険外では10万を超す場合も普通らしいので、
こんなものだろう。
バンコクでインプラントと上下全改修した時は100万近くかかったしな。
あの時はまだ日本で国民保険を払っていたから面倒だけど後日申請したな。
インプラントは保険適用外だから殆ど戻らなかったけど。
痛みがあれば直ぐに来てねと言われて帰宅。
でも多少の痛みは我慢するつもり。
使ううちに歯茎が馴染んで来るので、
その前に削ってしまい痛みは取れても密着度が悪くなるのを警戒する。
なにせ日本でもタイでも、
歯医者は結構大胆に削るからな。
食事をしてみる。
熱の伝わりはとても良い。
昔は冷たい飲み物等だと金属部分が急激に冷えたが、熱い冷たいは違和感が殆どない。
義歯の下に食べ物が入り込むことも無く安定度も高い。
噛んだ時の味の伝わりは流石に遅れるので違和感がある。
歯茎と皮膚をカバーした部分が広がったためだ。
これは慣れるしかない。
数ヶ所強い痛みが走る。
やはり新たに広くなった土台部分だ。
今まで何もなかった部分に硬いものが乗り、
噛む度にそこにも圧力がかかる。
力が分散されてるのは良い事だが、
奥歯の更に奥の頬に近い部分の
元々歯の無い部分であり、
硬さも均一ではない。
馴染んでくるかと思いしばらく我慢。
1週間後、痛みで噛むのもつらくなり、
頭痛と肩コリも出てきたので、
歯医者へ。
まだ女医さんは出勤してないが、
別の女医さんが診察。
白い薬剤を土台に塗り、
当たってる部位を確認し削っていく。
やはり大胆に削る。
この日は修正って事で無料。
痛みは大きく軽減。
後は自分で調整可能だ。
それから1週間後。
現在はだいぶ慣れてきた。
硬いナッツ類とかは痛みが出なくはないが、
充分耐えられる。
高さが出た分、上顎の義歯への負担が減り、
咬み合わせは変わったが良い感じ。
完全に慣れるのにはもう少しかかるだろう。
さて、何回かに分けて投稿しようと思っていたが、合間合間に少しづつ書いているうちに、ダラダラと続けてしまった。
最後に歯の治療をしている人たちに伝えたい。
歯はとても重要であるとつくづく感じている。
自分は若い時に虫歯が増えても気にしないで放置していた。
全部駄目になっても総入れ歯になったら、
虫歯にもならないし楽だとまで考えていた。
が、実際は自分の歯ほど頑丈でよく出来た物は現在でも無い。
インプラントでも強度は下がるしメンテも必要である。
ある歯医者によると、
自分の歯が減れば減るほど、
噛む力は低下すると。
義歯にしても噛む力は部分入れ歯でも2割から3割、総入れ歯だと半分以上下がると言う。
だから可能な限り抜歯しないで歯根だけでも残すのがベターである。
それに当たり前だが義歯には神経が無い。
なので義歯が大きければそれに比例して感覚が鈍る。
硬さの度合いが判りづらくなり、
例えば魚の骨を口の中で選別するのが難しい。
骨と気付かず強く噛んでしまい義歯を破損する場合もある。
実際自分はファランというタイの果物を齧った際、種に気付かず噛んでしまい義歯の前歯が折れた事がある。
また歯茎部分に葉野菜とかが付着しても気づかないし、歯茎と違って柔軟でないので張り付いて剥がれ難い。
昔カフェとかに座っている老人が、
何も食べていないのに、
常に口をモグモグ動かしているのを見て、
あぁボケが始まってるのかなとか思っていた。
が、あれは多分入歯に付いた食べ物が中々取れなくて、
舌でずっと探っていたんだと、今だとわかる。
自分もそう見られないように気を付けなければと思う。
ではタイで義歯を新調するの顛末。
この辺で終わろう。
30年以上前の日本での治療や、
18年前のバンコクでのインプラント。
治療部位。
タイと日本の歯科医療の違いについても書こうと思っているが、、、。
長々とお読みいただき有難うございます。