「お話その七」
今回はちょっと技術的なお話になります。
電話でお料理の説明をしているような、一抹の不安がありますが(笑)、
想像を膨らませながら読んでみてくださいね(願!!)
今日は、前回のお話に出てきた「芯を追い続ける」って何?!です。
これは現実には自分の体で直接に体感してみないと
本当にはわからないものなのですが、
あえてここでこの武術が一体何をしているのかということを、
スローモーション風に説明してみますね。
わかりやすい例として、
「2人が向かい合って立ち、一方が片手で相手の腕をつかむ」
というもので説明します。
この状態のとき、その腕から逃れたいとすると、
あなたはどう動くかということを想像してみてください。
ごく普通には、
つかまれた腕を思いっきり振りほどこうとしませんか?
全身の力を総動員して腕を引っ張ったり、体を引いたり、ひねったりします。
トーゼンです。イヤですもん!
でも相手の力が強いと邯鄲には腕は放せませんね。
では僕がやっていた武術ではどう対処するのか?
ここからがス・ロ・ー・モ・ー・シ・ョ・ン~!
(1)まず力で振りほどこうとすることをせず、できる限り脱力して立ちます。
(2)次に自分の芯を丁寧に感じます。芯を感じるとは、
言い換えると、
まずグラグラしないで自分の体が楽に、でもしっかり安定するように立つ。
そしてこの「脱力していながら安定した状態を保っているか」ということを
感じ続けるのです。
(3)この時、相手に腕を「つかまれている」というより、
「つかませている」と考えます。
「つかまれている」と考えると相手が主役ですが、
「つかませている」と考えると自分が主役になるからです。
単なる気持ちの持ち方の違いのように思えますが、
これが大きく動きに影響します。
(4)もう一つ、つかませた腕は「相手と関係する大事な接点である」と考えて、
“芯の延長”として感じ続けることも重要です。
なぜなら自分だけで立っているときとは異なり、
腕をつかまれると当然相手の位置や力のかけ方によって
自分の芯の位置は刻々と変化するからなんです。
相手との接点を意識し、
そこから伝わってくる力の大きさや方向の変化を芯で
感じて自分の重心を調整し、芯を保ち続ける。
これが一番のキモとなります。
(5)このように自分は脱力し、
相手は力を入れて腕をギュッとつかんでおり、
相手から伝わってくる力の変化に対応して、
ただただ自分の芯を追い続け安定させていくという
動きをやり続けると、有利なはずの相手が
逆に不安定になります。
そして動きにくくなった相手はついに立っていられなくなり、
最後には為す術もなく倒れてしまうのです。
(6)この一連の動作は、「芯」を意識し続けられさえすれば、
スローモーションのようにゆっくり動いても、
速く動いても同じようにできます。
力でも速さでもないということです。
要するに大切なのは、
つかまれたところを通して「自分の芯」を意識し続けること。この一点です。
つかまれたところを何とかしようとしないということが大切です。
ふう~^ ^;
スローモーションだと一瞬の出来事だけど
書くと長~~いですねー。
でも今回は、
途中で緊張緩和のためのチャチャをいれたくなるのを抑えて、
最後まで任務を遂行しました。(なぜか自慢げ?!)
ということで、続きは「お話その八」へ
覚技ワークス主宰 新海正彦