2021年春には戦後建築を中心とした現地調査の成果をデータベースとして公開する予定にしています。
今回のシンポジウムではコロナ禍による新しい生活様式の中での建築の大切さについて考える機会として開催されました。
プログラムについては以下の通り
◆基調講演「自然が蘇る建築」
〇伊東豊雄氏(建築家)
建築界のノーベル賞と言われているプリツカー賞も受賞した世界的に有名な建築家。大三島に伊東豊雄ミュージアムを設立し「大三島プロジェクト」を展開。
◆スライド上映、写真パネル展
〇宮畑周平
◆パネルディスカッション
〇曲目清雄(愛媛大学名誉教授、社会連携推進機構客員教授)
八幡浜市日土小学校の保存、再生についてコンソーシアムの一員としてノールモダニズム賞及び日本建築学会賞受賞
〇松隈洋(建築史家)
「建築の前夜前川國男論」で日本建築学会賞受賞
〇花岡直樹(愛媛県建築士会理事)
道後温泉本館、萬翠荘の保存修理工事の設計監理、松山城本丸や岩屋寺などの防災工事設計監理
〇宮畑周平(写真家)
東京から愛媛県の弓削島に移住
瀬戸内編集デザイン研究所を設立
シンポジウムでは、戦後の日本の建築を振り返り、地域の中でどう発展してきたのか、現在に至るまでの間に建てられた県内の名建築の紹介や、
愛媛県出身の建築家松村正恒氏や丹下健三氏の残した建築などについても紹介されました。
愛媛県出身の建築家松村正恒氏や丹下健三氏の残した建築などについても紹介されました。
伊東氏の講演では、新型コロナの影響で東京のオフィスの在り方が大きく変わり、地方への関心が高まり、
シェアリングライフが地方に広がっているとして
地方でのシェアハウス、シェアオフィスがさらに増えてくることを示唆されました。
また、伊東氏が目指す「内部に自然が蘇る建築」について、建物の中にいながら芝生のようなフロアに人々が自由に座り、交流したりくつろいだりするスペースをつくるなど、
市民の憩いの場所になっている公共建築の在り方についても提言。
そして、「愛媛県」という枠を外して「瀬戸内海」を中心に魅力を伝えていくことを提案されていました。
瀬戸内海の景色と一体となった建物に人が集まり交流するだけではなく、
そこで学んだり、仕事をしたり、心を休める場所にもなると思います。
パネルディスカッションでは、登壇者の方の取組を紹介されました。
戦後、多くの建築家が復興の中で未来を夢見て次々に新しい建築物を生み出し、その建設の様子を期待しながら日々の生活を送っていたことでしょう。
そしてその建物は今もなお、生活に密着しながら受け継がれていることに感動を覚えます。
愛媛県内には多くの素晴らしい建築が残されています。
市役所やホール、小学校など、多くの人がそこに集い、交流する場所としてなくてはならないもの。
生活に密着しているだけではなく、創造力を高め、ときには環境を守るためにもそこに存在しています。
愛媛県にある素晴らしい建築を後世にも伝えていけるようになればと改めて感じました。
このような建築を多くの方に知っていただきたいと思います。