本日、伊方発電所で発生したトラブルについて、原因と対策について、発表されました。
資料は四国電力のホームページにも掲載されています。
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https://www.yonden.co.jp/publish/page_12.html
問題となっている制御棒の引き上がりや落下信号発信、電源一時喪失についての報告について抜粋しました。
(以下報告書より)
【3号機原子炉容器上部炉心構造物吊り上げ時の制御棒クラスタ引き上がり】
(原因)
制御棒クラスタ頭部の堆積物が駆動軸取り外し軸の先端と接手 との間に詰まったことから、
駆動軸を制御棒クラスタへ着座させた後、駆動軸 先端が制御棒クラスタに沈み込み、
不完全な結合状態となり、制御棒クラスタ 1体が上部炉心構造物とともに引き上げられたものと推定。
(再発防止策)
・駆動軸が確実に切り離されていることを確認するため、駆動軸取り外し軸の位置を確認する手順を 追加することにより、再結合を防止する。
・駆動軸切り離し時に加え、駆動軸を制御棒クラスタへ着座させた後に再度重量確認や位置計測を行う ことにより、再結合していないことを確実に確認する手順を追加する。
・制御棒クラスタ頭部のスラッジを可能な限り減らすため、定期検査毎に制御棒クラスタ頭部の状況を確認し、スラッジが堆積している場合は除去する。
【3号機燃料集合体点検時の落下信号発信】
(原因)
◯点検装置ラックの開口部が小さく、難度が高い作業となっていた。
◯水中照明により点検装置ラックに影ができ、開口部の視認性が低下していた。
◯燃料集合体が点検装置ラックと接触すること等により荷重変動が生じた際の対応が明確でなかった。
◯この作業の困難さを操作員のみが認識し、作業員全員で共有できておらず、改善につながっていなかった。
(再発防止策)
◯点検装置ラックの開口部を拡大する。
◯本点検作業時には、状況を確認するための水中テレビカメラ、作業中の視認性向上のための水中照明を追加で設置する。
◯燃料集合体の点検装置ラックへの挿入状況について、操作員に加えて作業責任者がダブルチェックを行う。
◯燃料集合体を点検装置ラックに挿入する際の注意事項として、点検装置ラックへの接触等により荷重変動が生じた際には作業を中断し、追加措置の必要性等を確認することを作業要領書に追記する。
◯今後、作業の難度を考慮し、作業員への聞き取り等に基づき適切な作業手順・作業環境とすることが作業要領書に反映されるよう、社内規定を見直す。
【所内電源の一時的喪失】
1、2号機の屋内開閉所において、保護リレー試験時に断路器故障し、1~3号機へ供給してい た18万7千V送電線4回線からの受電が停止した。
その後、1、2号機は6万6千Vの予備系統から受電 し、3号機は非常用ディーゼル発電機から受電した後に、50万V送電線からの受電に切り替え復旧した。
今回の保護リレー試験では、断路器が故障すると数秒間でも3基が同時に停電する系統構成となっていた。
◯断路器の設備故障が直接的な原因であった。
◯断路器の開閉を行う内部部品の結合部分に、ごく稀に隙間が生じる構造となっていたため放電が発生し、放電に伴う発熱により結合部が損耗し、隙間が拡大した。
◯その後、断路器開閉時に結合部の擦れが生じることで金属片が落下し、相間短絡(ショート)が発生し、保護装置が動作したものと推定した。
(再発防止策)
◯故障した当該断路器の部品を新品に 交換する。
◯その他断路器については、内部異常 診断等により異常がないことを確認 した。さらに、構造が異なる3号機 の断路器についても、同診断により 異常がないことを確認した。
◯今後計画的に同一構造および使用 状態が同じ断路器ユニット(13台) の内部開放点検を行う。
◯当該断路器を加えた断路器(14台) について、恒常的な対策を検討 していくとともに、内部異常診断 による監視を強化する。
◯今回の保護リレー試験の再開に 際しては、一定の負荷を接続する 必要があるが、1~3号機の同時 停電を防止する観点から、3号機 の所内負荷を接続しない系統構成 (模擬負荷使用)とする。