今日、僕にとって大変残念な訃報が流れました。
柳ジョージさん。肝臓とすい臓を痛めて活動を休止されていた事は知っていたんですが、10月10日、腎不全でこの世を去られました。葬儀はご本人の遺志で、ご家族だけで行われたそうです。
まだ63歳ですよ?亡くなられるにはあまりにも早すぎる。

決して大ファンだった、と言うワケではありません。聴き込んだのは「YOKOHAMA」と「ROAD SHOW」くらいなモノでした。大ヒットした「雨に泣いてる・・・」も、正直あまり得意ではありませんでしたしね。
でも、僕の思い出深い場面のところどころを、ジョージさんはその歌とギターで彩ってくださいました。
これ、以前書いたコトがあるんですが、高校の頃、ロックとフォークの両方に入れ込んでいて。文化祭でコンサートをやる事になったんですが、当時エレキ楽器はNGだったんです。なので、3人でフォークコンサートをやったんです。(ワンマンじゃないです。もちろん、僕ら以外にも出た奴らがいますけど)
僕以外の二人は、もちろんアリスの「紫陽花」や、風の「ささやかなこの人生」あたりの王道を選曲したんです。でも、僕はどうしても歌いたい曲があって。それがジョージさんの「青い瞳のステラ、1962年夏・・・」だったんです。当時出たばかりのこの曲が大好きで。もちろん、他の二人は反対したんです。どう考えてもフォークじゃないしね。(笑)
元々バンドライヴがやりたかったんですよ。ドラムも練習したし、とにかくこの曲がやりたくて。なので、かなりムリヤリですが、ねじ込みました。(笑)
でもね。元々アコースティックでも全然いける曲ですから、これがやってみると意外にいいんです。一番ギターが上手かったヤツがちょっとソロなんか入れてね。最終的にそいつ、ジョージさんの「Woman and I... OLD FASHONED LOVE SONGS」という2枚組のアルバム買いましたからね。(笑)
「青い瞳のステラ、1962年夏・・・」
赤いキャンディ 包んでくれたのは 古い Newspaper
白いペンキ 何度も塗りかえす 夏の風の中で
今頃 故郷のテネシーあたり
刈り入れ時さと カタコト混じりで
バルコニーから 覗くあんたは
ブロンドさえも 色褪せていた
派手な化粧 振り撒くオーデコロン 自慢の胸のペンダント
俺の髪を撫でまわしながら 開けてみせた写真
もう一度 船に乗る夢ばかり
風邪をひいた日に うわ言のように
好きなブルース かけてた夜は
きまって夜明けに すすり泣いてた
After midnight
哀しみは 永遠の眠りについたかい
After midnight
哀しみは 海を渡って行ったかい
沖を通る 貨物船眺め テネシー・ワルツ歌おう
上手いもんさ あんたに教わった ちょっといかした ステップ
ほめてくれよ しゃがれた声で
芝生の下で眠っていずに
ほめてくれよ Blue eyes細めて
芝生の下で眠っていずに
この頃の僕は、邦楽でこんなに切ない曲を聴いたコトがありませんでした。遠い昔に感じて、心の奥の方に眠っている郷愁のような気持ち。いてもたってもいられないような、そんなもどかしい、でも2度と戻ることができない、あの日の記憶。
「1962年夏」は、僕が生まれた時でもありました。だからこそ、この曲に対する思い入れが深いのかもしれませんね。
そしてもう1曲。僕が添乗員をやっていた頃の同期の同僚が結婚する、と言ってきて。そいつはその頃は会社を辞めて、別の道を歩き出していた頃で、僕は結婚してカミさんのお腹に息子がいる時でした。
「yukkiさあ、お前昔ドラムやってたっていってたよね。結婚式の2次会でバンド演奏するんだけど、お前叩いてね」
ん?ちょっと待て。「叩いてくれないかな?」じゃないの?強制?(笑)
まあ、昔からそんな唯我独尊なヤツで。そこがたまらなく好きだったんですけどね。でも、もうかれこれ8年は叩いてなくって。さすがにちょっと躊躇してたら、ソイツ曰く。
「大丈夫。他にも手伝ってくれる奴らも同じようなモンだから。練習用のスタジオも抑えてあるし」
あくまでも強制なのね。
ってなワケで、ムリヤリ参加させられましてね。ヤツがもちろんメインボーカルなんですが、コーラスまでやらされるハメに。(T_T)
曲も全部ヤツが決めたんですが、こんなセットでした。順不同です。
「 1 WEST 72 STREET NY NY 10023」小山卓治
「Passing Bell~帰郷~」小山卓治
「ああ青春」吉田拓郎
「FENCEの向こうのアメリカ」柳ジョージ&レイニーウッド
もう一曲はヤツのオリジナルでしたが、曲名は忘れました。(笑)どんな脈絡の無い選曲でしょ?しかも、結婚式でやる曲か?(爆)
まあ、このライヴのおかげで僕は小山卓治という素晴らしいアーティストに出会えたんですけどね。
余談ですが、YUIちゃんのバックを以前努めてられていたドラマーに、僕の大好きな牟田昌広さんと言う方がおられるんです。牟田さんのブログに、小山卓治さんが大好き!という記事があって。思わずこのエピソードをメッセージで送ったんです。そしたら、
「結婚式で小山、ウケル!」
なんて返信をいただいて!嬉しかったなあ。今でも、ちゃんと大事に保護してます。(笑)
何度か練習をして。カミさんがどうしても一回見たいというので、スタジオに連れて行ったんですけど、ヤツの結婚式は12月の16日。出産予定日は24日のクリスマス・イヴ。スタジオに入るとわかるんですが、かなり重低音の振動が来るんですよ。案の定産気づきましてね。練習中止して病院へ直行。その時はなんとか収まって。それが最後の練習だったんで、不安一杯でね~。(;^_^A
いよいよ当日。結婚式も披露宴も無事終わって2次会の会場へ。この日の為に古着屋で買ってきたTシャツを着て。こんなのが胸にデカデカとプリントされてるヤツ。

なんでストーンズ?(笑)
リハをやろう、という時。スタジオのバスドラのキックペダルと感触が全く違う・・・

ありがちなんですけどね。やたらと跳ねるペダルでね。調整したんですけど、あまり変わらない。ま、どうせお祝い事だし、みんな酒入ってるし、主役がメインボーカルなんだから大丈夫でしょ?っとは思っても、内心バックバクです。(笑)
とりあえず瓶ビールをラッパ飲みして、気合い入れて本番へ。会社の友人にビデオカメラを頼んで。
「演奏だから、ずっと回しっぱなしにしといてね」
あんまり覚えてないんですが、無事破綻も無く演奏終了。ヤツは結構ワイルドな歌い方をするんです。決して上手いワケではないんですが、胸に響くっていうか。いい声出してました。
終わった後、メンバーとみんなで乾杯しながら映像を見直したんですが・・・
ブツブツ切れとるやないかい!!!

「あ、ごめん。忘れてた・・・」
そいつがその日酒で潰されたのは、言うまでもありませんね。(笑)
「FENCEの向こうのアメリカ」です。
そいつね。生粋のハマっ子なんですよ。この曲がヤツの子守唄みたいなモンだったみたいです。もちろん聴いたのは高校の頃ですけどね。
この曲を最後に演奏してた時ね。まだ終わりたくないって思っていたのを、それだけはハッキリ覚えています。もっともっと、演っていたかったなあ。
2日後、息子が生まれました。
ヤツもカミさんのお腹の中で聴いたこの曲。
覚えてないだろうなあ。
心からご冥福をお祈りします。
素敵な思い出と、素敵な曲をありがとうございました。
あなたは、「和製エリック・クラプトン」と呼ばれていたけれど、僕にとっては「柳ジョージ」その人です。それ以外の誰でもありません。
合掌。
追記:今日はおそらくつべにジョージさんの曲を聴きたい方々が殺到してると思います。再生が重くなっていると思いますが、どうかお許しください。m(_ _ )m