伊王島岡町

ワーッ!!ごめんなさい。おばちゃん。

ドッバーン。心臓が飛び出していた。

『あれ?あんた、梅田さんがたの子じゃなかね~』

『これから、毎日学校帰りにうちに寄らんばよ』

その日の夜、母が私を呼ぶ度に ヒヤッ。

ビクついていたが、バレずに朝を迎えた。

更なる恐怖は、学校帰りのかめこ、、、

横目で見ていた私を、おばちゃんが見つけた。

吸い込まれるようにおばちゃんに近寄ると

おばちゃんはニタッと笑い『はい、』

手渡されたものは、メロンパン。

な、なに?ん?どして?

両手で大切に持って立ち尽くしていた。。。

『ここで食べていかんばよ』

食べんかったら? どうなるんかな~?

あれだけ、美味しそうと思えていたメロンパン。。。

一口食べてみた。。。なにも起こらない。。。

大丈夫みたい。。。おばちゃん笑ってるしぃ~

『気つけて帰らんばよ。お母さんに言うたらダメとよ』

それ以来、学校帰りに毎日おばちゃんから

メロンパンやアンパンをもらって食べていた。

風邪をひき、学校へ行けなかった時ですら

その時間になるとランドセルを背負って

かめこへ行った。行かないとヤバイと思っていたから。。。

『熱んある時に、来んちゃよかっとぉ』。。。

叱られた。。。

島を出るまでの数年間おばちゃんがニタッと笑って

私にしてくれていた事はすごかったんだと、

大阪へ引越し、随分経ってから分かった。

お礼を言わなければ。。。

島を出て20年ほど経っておばちゃんに逢いに行った。

懐かしい。なにもかもが小さく見える

もうじきだ。この橋を渡るとかめこだ!!

ワクワクしてきた。

古めかしい商店が立ち並び、かめこもあった!!

元気よく入った『こんにちは!!』

おばちゃんの姿は、もうなかった。。。

合唱