聖夜。 | さくらんぼの屋根部屋。

さくらんぼの屋根部屋。

B.A.P妄想ツイの保存用。不定期につぶやきます^ ^

 

 

今夜は誰も捕まらない。ひとりで食べるご飯は味気なくて嫌いなのにな。バスを降りると、降り始めた雪。こんな時はうらめしくなる。小走りに近所のチキン店に逃げ込み、テイクアウトを注文した。勢いで1箱買っちゃったけどどうしよう。

 

 

店内には誰もいないけど、少し迷って窓際のいちばん奥に座った。退屈しのぎのSNSは人の楽しげな話で溢れていて気が滅入る。妙に力がこもったのか、テーブルにスマホを伏せた音が店内に響いた。だんだんと大きくなる雪片が心を沈ませるなんて、今まで感じたことがなかったよ。ひとりでに出てしまうため息に悪態をつきながら、ぼんやりと街灯を眺めた。

 

 

 

 

 

唐突にスマホが震える。慌てて取り上げると、画面には見慣れた名前。「え?どこからかけてんの」「おう!今日からスマホ使えるんだ。いちばんに知らせたくてさ、」恋しかった声に、手が震えた。「聞いてる?なぁ、」「デヒョナ」「声、震えてね?泣いてる?」「かもね」「今夜は何食うの」「チキン」「なんだよいいなぁ〜差し入れしろよ」豪快に笑う声を聞いたのは何日ぶりだと思ってんの。今夜もひとりなんだよ。「毎日は無理だけど、電話するから」「うん」ひとりじゃなかったんだ、私。

 

 

「浮気すんなよ」「あんたこそ」「どこにいると思ってんだよ」呆れた声すら愛おしい。涙でびしょびしょの頬を、手の甲でぐいっと拭った。

 

 

「会いたい」

「俺も」

 

 

 

離れていても、笑顔が見える気がした、聖夜。